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 アニメ『無彩限のファントム・ワールド(公式サイトニコニコチャンネル)』第3話「記憶コピペ作戦」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 こ、これは昔観たアニメとか、記憶の中で美化されてるよね現象だ!(え) 『ハルヒ』がもう十年前。え、『ハルヒ』は美化されてなくてもイイよね……(ごくり)。

 衒学パートが、一話が「錯覚」、二話が「言語」、ときて、三話が「記憶」。

 今回の個別の記憶は、大本の集合記憶みたいな所と繋がっててそこから来てるみたいな話が、二話の感想で書いた、個別の言語「パロール」と、(人類での)普遍言語「ランガージュ」の関係と重なっています。

 総じて、大本に人類普遍の何かがあって、表層(個々人の色のようなもの)はそこから出力されてる見え方の違いだ、みたいな話。第一話の「錯覚」の「ルビンの壺」とかも、「大本は同じ絵のはずなのに見え方の違いだ」ネタですよね。これは、人間とファントム、現実と仮想の関係も、そういう大本の存在からの出力の違い、見え方の違いみたいに本作では落としていくのかも。

 今話では「記憶」ですが、個々人の心・魂みたいなものが、大本では繋がってるんじゃないかみたいなこの手の話、劇中の晴彦の八十年代ニューアカがどうこうみたいな台詞もありましたが、古くは心理学ならユングの集合的無意識とかの話だし、日本の文学だと村上春樹とかがこの手の話を物語化して書いてると思います(「イド」関係の辺りの話とか)。で、劇中でも言われてる通り怪しい話だみたいにも言われていたのですが、近年の認知科学だと、わりとエビデンスみたいなものも上がって来ちゃったりしてます。この辺り、本当我々はもう未来を生きてるんだなと。「だけどまだよくは分かってない」のも含めて、こういうのを題材に使うの、この2016年にタイムリーな作品だなと。

 封印に関して、より優秀な玲奈に取って代わられる晴彦という構図が、京都アニメーション文脈だと、『甘城ブリリアントパーク』のより優秀な支配人代行である西也に取って代わられるいすず……という構図と重なるんだなと気づきました。『甘城ブリリアントパーク』だと、行動できなくなくなった西也の「代わり」を他のみんなが務めていくことで面白いことになる第8話「恋心が届かない!(感想)」で風刺的に描いていたりした、「私たちはしょせん代替可能な存在なのか?」問題ですね。

 『甘城ブリリアントパーク』はわりと終盤、決して代替可能ではない、一人一人の大切さの方に解法が行った気がするのですが(参考:第12話「未来は誰にも分からない!」の感想)、続く『響け!ユーフォニアム』だと、代替される存在なりの「特別」がある、と、もうちょっと込み入った話になっていったと思います(参考:響け!ユーフォニアム最終回の感想〜ポニーテールと三人のハルヒ(ネタバレ注意))。

 で、今作はその流れの中、代替、バックアップもむしろ大事! みたいな所が今話では描かれている感じでしょうか。晴彦は今話で舞のバックアップ(代替)になるんだけど、先生がいう「いわば川神さんのバックアップ。オリジナルがピンチになったらあなたの出番ですよ」には作中でポジティブな位置付けの台詞と感じました。西也がピンチになった時に、いすずがいるからイイんだ、みたいな話ですね。

 そこからオリジナル(舞)とコピー・バックアップ(晴彦)の合体技展開。相変わらず、第一話のおっぱいリンボーダンスに始まり、執拗にギャグパート(『北斗の拳』っぽい何か)に真面目な方のテーマもかけてるのは謎の面白さがある作品ですね。本物と偽物の共闘は今年のプリキュア(感想:別ブログ)のテーマだったりもして、時代はそっちの方向なのかなぁなどとも。

 表層的な「本物―偽物」「オリジナル―コピー」のカテゴライズは置いておいて、それを超える真実性とかあるだろってあたりをあぶりだしていく作劇ですね。この流れで次回第4話のサブタイが「模造家族」か。熱すぎるな……。

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→前回:『無彩限のファントム・ワールド』第2話「迷惑UFOをやっつけろ!」の感想へ
→次回:『無彩限のファントム・ワールド』第4話「模造家族」の感想へ
『無彩限のファントム・ワールド』感想の目次へ

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