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 アニメ『無彩限のファントム・ワールド(公式サイトニコニコチャンネル)』第9話「幕末ファントム異聞」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 今回の冒頭の衒学ネタは、第3話(感想)の「記憶」の時もそれっぽかったのですが、改めてユングの「集合的無意識」ネタ。

 第1話冒頭の「ルビンの壺」からはじまり、要所要所に散りばめられている要素といい、基本的には大本には同一の大きな存在があって(今話の話なら集合的無意識のようなもの)、そこから出力されてる表層の違いは、見え方の違い、変項のようなものだ、という話が繰り返されています。人間とファントムも、本物と偽物も、エトセトラエトセトラ。ここまで繰り返している以上、物語縦軸のギミックにもかかわってくる要素なんだろうなー。

 もう一つは、今話の亜弓先輩が抱いていた自分自身の本懐(演劇部に地区予選突破の栄光を)を果たす手伝いを、晴彦と舞らメインメンバーが助っ人する……という構造が、第一話の電柱付喪神が抱いていた本懐(リンボーダンスしてほしい)を、晴彦らが助っ人してあげる……と同じなのですね。

 どちらも、厳しい現実の中では叶えられなかった、おそらく当人しか価値を感じていない、幻想のたぐいです。妄想といってもいいかもしれない。でも、それを当人はやりたい! と思ってる。それを、晴彦や舞が助っ人してあげる。その、他の人からしたら価値なんてないかもしれないけれど(今話の亜弓先輩の脚本も荒唐無稽で、自分ワールドという感じ)本人は自分の色だと思ってる幻想を、それにも付き合うよって言ってあげてる作品なんじゃないのかなぁ。これも縦軸のストーリーに繋がるとしたら、ラストはあの人が抱いてる「叶わなかったけど本当に願った本懐」をみんなが助っ人してくれそうで、その展開はきたらグっとくる。

 加えると、今話も「代役」オチですよね。晴彦たちは、本来の演劇部員の「代役」に過ぎない。でも、やっぱり、舞の代役でイイっていう第3話とか、代わりの家族としての模造家族にも意味はあった的な第4話とか、前回の、本妻の代役でお猿ファントムと結婚してもいいじゃん(笑)な流れと同じで、「代役」だけどイイじゃん感が漂ってる一話でもあります。

 大本からすれば本物も偽物も見え方の違いに過ぎず、叶えたいけど叶えられなかった本懐を守るために助っ人し、代役として戦う、的な最終戦なのでしょうか。そろそろ終盤なんだけど、阿頼耶識社を爆破した犯人とか、縦軸の話はどの辺りまで踏み込むのだろう。

 他、晴彦たちの演劇に対して「メタ」と評している審査の人達……というシーンは、それ自体が『無彩限のファントム・ワールド』という作品の中であって、それを観てる視聴者はメタメタ、とか。フィクション(演劇がファントムの力で劇中で実体化してる状態)の中でこれがフィクションだと自覚してる晴彦たちが、『無彩限のファントム・ワールド』というフィクションの中の登場人物だとは自分たちでは自覚してない……とか、いわゆるメタ・フィクションネタが豊富で、その辺りも楽しめました。そして、そういうメタ・フィクションなエピソードやったりする『無彩限のファントム・ワールド』という作品自体が、『ハルヒ』とか『けいおん!(!!)』を通じたメタネタを織り込んでる作品だったり……と、かなり凝ったことをやってる印象です。それでいて、普通にギャグにお色気にバトルにのエンタメ作品としても各話成立させてるのはさすがという感じ。今週も小糸さんが可愛かった。

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→前回:『無彩限のファントム・ワールド』第8話「猿温泉を突破せよ!」の感想へ
→次回:『無彩限のファントム・ワールド』第10話「小さいルルの大きな夢」の感想へ
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