ネタバレ注意です。
地味にグっときたのが剣之助がビルディングの群れを「墓石」と形容したあたり。
我々が見慣れている現代文明の産物が、その外側から来た人には異質に見えるんじゃないかというようなシーン。少し(かなり?)文明批評的な視点もある作品なのかなと感じ始めたところです。ビルディング、電車など文明の産物が破壊される(されかけるのも含めて)描写が豊富ですし、作中で印象的に使われてる「ダム」も現代文明の動力源(電気の源)って感じだよなぁ。
あれだ、現代文明の外から来た人間から見える現在の文明の違和みたいな視点があるのは、『魔法使いの夜(感想@別ブログ)』みたいな感じ。『魔法使いの夜』の草十郎は現代文明に適合していきながらも、あるシーンで、
……ああ、なんて醜い。
こんなものを、これから一生見続けていく。
と漏らしてしまうのだけど、本作の剣之助は現在の文明とどう付き合っていくのか。
そういう現代文明の違和みたいなのも背景にあるので、その中でひたすら「姫への忠義」という、何だか現在では忘れられたようなものを胸に戦う剣之助が、とても美しい。(ロボットアクションも凄い。)
「姫への忠義」が、過去でも現代文明でも変わらない永遠性がある大事なものみたいな感じなのかな。それが、やはり途絶えてしまっていた。由希奈は姫ではなかったし、姫は死んでしまっていたというところで引き。
剣之助は戦う理由を私怨と述べています。姫という拠り所がなくても、果たして現在の世界に守るために戦うような価値があるのか、みたいな話にももっていけそうで楽しみです。Netflixと連携して(全世界独占配信)海外向けを意識してる作品なのは明らかかと思うので(サムライ要素とかが強いのもそういう理由なのかと思う)、こういう視点がある作品は日本発で発信していくの良いことだよなとも。
→エンディング曲
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【関連リンク:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】
→2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)