ネタバレ注意です。
ソフィーが剣之介を評するシーンが面白かったです。すごい四字熟語を並べたりしつつ、大まかにはソフィの抱いている「サムライ観」に合致しない、ということを言ってます。
一方で、第2話の「空っぽの城」のシーンから始まり、剣之介視点で、現代文明の中では「サムライ的なもの」が失われてしまってるというシーンが多々描かれているというのもあります。
この二つの視点は見方が逆方向(現代文明人のソフィーが剣之介を観る/剣之介が現代文明を観る)なだけで、大本は「現代には真の『サムライ』は失われてしまっている」という点で共通しています。
加えて、小春の観ている『時代劇』や、今話の『謎の信長ロボットアニメ』とか、もはや現代にはシミュラークル(模造品)でしか『サムライ』は存在していないのか? という描写が、この「真の『サムライ』の喪失」感に拍車をかけていく構成になってると感じます。
ここで、いや、剣之介は真の『サムライ』なんだ! という風に展開していけばシンプルなのですが、剣之介サイドもまだ課題を抱えています。
第1話の進路の話しかり、同じく今話でも進路の話がちょっと出てくるのしかり、由希奈はどこか自分自身への無価値感。と言うと大げさかもしれませんが、自分に自信がないのが描かれているキャラクターです。
そんな由希奈が剣之介に今話では表面的に「お前が必要だ」と言って貰えるのですが、剣之介が戦う理由を「かたき討ち」としている点(由希奈はそれに賛同できなさそう。今話ではソフィに問われても由希奈自身の戦う理由は答えられなかったけれど)、剣之介にとって現時点では由希奈は姫の「代わり」でしかない点。主にそれら二点から、由希奈の表情は晴れません。「必要」って言っても私を「かたき討ち」のために姫の代役として利用してるだけでしょ的心情で、彼女が感じてる自身の無価値感はまだ払拭されていないのです。
『真のサムライ』がどういったものなのかまだ見えず、由希奈の気持ちも晴れないまま、とりあえず出撃という引き。2クール作品ということも発表されて、キャラクターの心理面のドラマも丁寧に進めてる作品という印象です。
これはどうなっていくのかなぁ。
『真のサムライ』を取り戻すという方向よりは、どちらかというと『サムライ』と『現代文明』がハイブリッド化していく、補い合っていく方向にいく作品という気が今の所していますが。姫の代役的な由希奈にも、本当のサムライの模造品的な謎の信長ロボットアニメにも、何らかの意義はあるはずだ……的な方向という感じで。
→エンディング曲
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→2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)