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 アニメ『ハイスクール・フリート(公式サイト)』第5話「武蔵でピンチ!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 『けいおん!(!!)』〜『たまこまーけっと』〜『ハナヤマタ』ラインの、吉田玲子さんシリーズ構成の「(擬似)共同体」ものテーマの作品と感じる本作。

 前話まで、晴風という「家族」的共同体を維持するために、一人本心を表に出せない(本当は今すぐにでももえかを助けにいきたい)明乃……というのが描かれていたのですが。

 今話にて、結局個人の本心を優先して武蔵(というかもえか)を助けに行く明乃をバックアップする晴風メンバーたちというのが描かれました。これ、最終回くらいでやるのかと思ってた。まだ第5話なので、後半はもっと込み入った話になるのか。

 吉田玲子さんシリーズ構成作品的にはばっちり『けいおん!(!!)』〜『ハナヤマタ』のラインのストーリーで、児童時間の紐帯(今話では明乃ともえかの関係)のために駆けたい人がいる時、「家族」はバックアップしてくれるもんだってシーンですね。『ハナヤマタ』最終回でハナがなる達の元に走っていく時、お母さんとお父さんがハナを応援したのが、今話の構図と同じです。


●参考:『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について


 ましろがもろに、「家族」をとるか「児童時間の紐帯」をとるかって明乃に迫るんですが、その選択、その選択にともなう明乃の葛藤そのものが、『ハナヤマタ』のハナにも訪れていた選択と葛藤と同じです。吉田玲子さん的にはここは「物語として」2014年に通過した場所なので、今作はもっと先までいくのか。

 「家族」的メンバーがバックアップしてくれるっていうシチェーションは同じなのですが、今作は明乃に承認を貰った(逃げるのも長所)鈴が明乃の戻る場所を守る立ち回りになってたり、志摩が砲弾を砲弾で撃ち落したり(あれ、「俺が考えた最強の防衛」みたいで熱いよね)、各自分かりやすい見せ場がありました。バックアップする側とか、「代役」側とか、「一般人」側の見せ場を丁寧に描くっていうのは最近の作品の傾向と感じるところです。

 相手を信じられなくなって撃ってしまう現象は、ミステリ的な方向でもう一層奥の話があるのか、シンプルに児童時間の仲間とも家族とも再合流を果たした後に、我々が立ち向かうべき課題として設定されてるのか。どういう方向へいくのだろう。

 アフター『ハナヤマタ』的に、再合流した仲間と家族と共に世界的課題(戦争以外だとパンデミックとか災害とか)に立ち向かっていくっていうのも熱いと思うのですが。今話のミーちゃんの歓迎会とか水着パートが『けいおん!(!!)』的「日常」描写で、だけどそれはもう無条件では成り立たない(この意識は3.11以降・『たまこまーけっと』以降の吉田玲子さんシリーズ構成・脚本作品にすごく見られる)、今話でも「日常」は非常事態で中断されてしまう。世界的課題と向き合いながらじゃないともう「日常」は維持できない。ある意味『けいおん!(!!)』を守るために戦う時は戦うっていう、「家族」や「友達」を守るために地政学やら防災やらを勉強する最近の我々的シチェーションなのです。

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→前回:『ハイスクール・フリート』第4話「乙女のピンチ!」の感想(ネタバレ注意)へ
→次回:『ハイスクール・フリート』第6話「機雷でピンチ!」の感想へ
『ハイスクール・フリート』感想の目次へ

【関連リンク1:当ブログの吉田玲子さんシリーズ構成・脚本作品の感想】

『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について
『けいおん!!』最終回の感想はこちら
『SHIROBAKO』(シリーズ構成ではなく同テーマのキー話の脚本)の感想へ
『けいおん!(!!)』シリーズ構成の吉田玲子さん脚本による「バッドエンドけいおん!」を浄化する物語〜無彩限のファントム・ワールド第7話の感想(ネタバレ注意)

【関連リンク2:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)