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 アニメ『クロムクロ(公式サイト)』第7話「東雲に消ゆ」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 ここ数話、ソフィーの抱く「サムライかくあるべし」という見解、現代では時代劇や謎の信長ロボットアニメにだけ残ってる「(模造品的な)サムライ」、そういう「サムライ観」の話が続いていると感じてるのですが、今話では、敵機の腹を切ると自爆するという設定、『葉隠』と、改めていわゆる「ハラキリ」的な「サムライ観」が提示されたりしました。

 こっちの方の「サムライ観」だと、すぐに死んでみせた敵さんの方がサムライで、死すべき時に死ねなかった剣之介はサムライとしてはダメだ……というようになってしまいます。そして、当の剣之介自身も、かたき討ちを果たしたら自分も死ぬというようなことを今話時点では言っている。

 剣之介自身が「ハラキリ的サムライ観」と「そうじゃない新しい何か」で揺れてる人間として描かれてるのかなと思うのですね。

 ソフィーは『葉隠』を持ち出したり、剣之介が本当に死線をくぐってる辺りは評価したりと、「死と隣り合わせ」の「サムライ観」に現在はわりと肯定的な感じ。

 一方で、由希奈は敵の事にしろ剣之介の事にしろ「死」を忌避していて、「そうじゃない新しい何か」を求めている感じ。トムに必要ないと言われ、過去には父親のことで色々言われ、剣之介にとっては姫の「代役」かもしれなくて、総じて自分自身に価値を感じられない状態なのだけど、その穴埋めの拠り所にするには、「ハラキリ的(死と隣合わせの)サムライ観」は何か違う。

 「そうじゃない新しい何か」の方向性の一つとして作中で小出しにされているのは「対話」かとも思うのですが、地球人と敵が対話できなかったように、由希奈とお母さんすらまともに対話できなくて傷つけ合ってしまう。世界は難しいと、わりと袋小路で由希奈失踪という引き。

 これ、敵(鬼)と友達になろうとしてたっていうお父さんがわりと「対話」サイドなのかもしれないなぁ。「未知」と接触した時にどうするのかという話。今話の、


・剣之介にとっての由希奈(何を考えているか分からないと語られている)
・由希奈にとってのお母さん(特にお父さん関係で何を考えているか分からなく映る)
・地球人から見た敵(鬼)


 がそれぞれ、右側が「未知」になっている感じ。

 そう思うと、物語開始当初の剣之介も地球人にとっての「未知」だったわけですが、ひとまず一緒にカレーを食べたりできる関係にはなりました。

 今話では由希奈はお母さんと餃子は一緒に食べられなかったのだけど、物語上のどこかのポイントで、敵(鬼)さんと一緒にご飯食べるという展開は来るのかもしれない。

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→前回:クロムクロ第6話「神通の河原に舞う」の感想へ
→次回:クロムクロ第8話「黒鷲の城」の感想へ
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【関連リンク:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

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