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 アニメ『ハイスクール・フリート(公式サイト)』第9話「ミーナでピンチ!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 『けいおん!(!!)』〜『たまこまーけっと』〜『ハナヤマタ』ラインの、吉田玲子さんシリーズ構成の「(擬似)共同体」ものテーマの作品と感じる本作。

 前回で「晴風」(という「家族」に比喩される「共同体」)の内部にあった、明乃の単独行動をめぐっての分断(主にましろさんと黒木さんが反対する立場だった)がうまいこと解消されてきたので、「晴風」に関しては今話時点ではまとまった「家族」という感じに。

 その段階に至ったのを踏まえた上で、今話は他の船(他の家族)、「アドミラルシュペー」を「晴風」が助ける話。

 第2話(感想)の時点でミーちゃんは(リアルの)難民の比喩なのだろうと書いておりましたが、吉田玲子さんが描く理想の共同体として、できるなら自分達家族だけじゃなく、難民の人当人も助けたいし、難民の人の家族も助けたいよね、というのをやっている感じです。実際、家族と分断されている状況の難民の方々というのは(リアルで)たくさんいるわけで。

 前回で「晴風」内部の話は一区切りしているせいもあり、今話の「晴風」はこれが私の考える最高の「共同体」だ! みたいな感じで「アドミラルシュペー」救出ミッションは熱かった。

 普段スポットが当たらない野間さんや万里小路さんが実は白兵戦超強いとか、砲が爆破されちゃったんで砲術員メンバーが浸水対処の「助っ人」に来るとか、前回の「炊事員は(戦時でも)ごはんを作る」も熱かったけど、今話も熱かった。船の様々なパートがリアル社会の様々なパートの比喩になってる作品なのだと思うけれど、柔軟かつ強靭な「共同体」っていうのは、全員が働きアリとか総活躍とかアホな話(え)ではなく、普段は働かないアリっぽい人が役割が訪れた時だけ(一時的に)めっちゃ動くとか、自分のパートがやられても、シームレスに別のパートの助っ人に移行できるとか、そういうことなんだと。

 かくして、「アドミラルシュペー」とテア艦長救出される。

 ミーちゃんとテアの関係が、明乃ともえかと重なる「児童時間的紐帯」になっています。吉田玲子さんシリーズ構成作品的には『けいおん!(!!)』的時間の友情ということ。なんだか過酷な状況になってしまったけれど、それを守るよという熱さがありました。

 そして、そのままミーちゃんとは一時の別れへ。もう、これ『ハナヤマタ』以降の吉田玲子さんシリーズ構成作品的に、第9話時点で一旦お別れしたっていうことは、最終戦近辺で「再合流」してくれるでしょ。

 『けいおん!(!!)』的児童時間的紐帯、作中メイン編、明乃ともえかは再合流できるのか? という部分に物語の焦点も合わさって終盤の話も盛り上がってまいりました。分断されていた船(家族)内と船(家族)間の再合流を描くという流れ上、最終戦は「晴風」以外の他の船も来てくれると盛り上がるのですが、作画リソースだけがめっちゃ心配です(え)。

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→前回:『ハイスクール・フリート』第8話「比叡でピンチ!」の感想(ネタバレ注意)へ
→次回:『ハイスクール・フリート』第10話「赤道祭でハッピー!」の感想へ
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【関連リンク1:当ブログの吉田玲子さんシリーズ構成・脚本作品の感想】

『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について
『けいおん!!』最終回の感想はこちら
『SHIROBAKO』(シリーズ構成ではなく同テーマのキー話の脚本)の感想へ
『けいおん!(!!)』シリーズ構成の吉田玲子さん脚本による「バッドエンドけいおん!」を浄化する物語〜無彩限のファントム・ワールド第7話の感想(ネタバレ注意)

【関連リンク2:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)