相羽です。

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 店内のオレンジ色の電灯の加減か、焔の瞳に映る灯理はいつもより大人っぽかった。

 物知りな灯理に、芸術のこと、政治・経済のこと、地元のプロ野球球団の今後の見通しについてまで聞いてみると、灯理はめまぐるしく表情を変えながら、面白おかしく、それでいてためにもなる話をしてくれた。

「焔君の子供の頃の話とか聴きたいな」

 今度は灯理の方から話題を振ってきた。

「そんなの、面白いような事、何もないですよ」
「気になる。小さい男の子の話とか、好きだから」

 自分でも話下手だと自覚しているから、年上の女の人を楽しませる自信はまったくないのだけれど、そう求められるなら自分の話くらいはしてみようか。他に何を返せるでもなし。
「ホンっと子供の頃。震災で家流されるまでは、よく海で遊んでましたよ。家から近かったんで」

 昔の家があった場所を伝えると、灯理は頷いた。

「私も子供の頃、海水浴行ったことある」

 震災の前まではS市近辺の住人には馴染み深い海水浴場もあった地区だ。灯理が訪れていても不思議はない。現在は、地区の大部分が更地になっている。活気があった漁港。潮の香り。砂の感触。焔にとって、今では遠い昔の記憶である。

「絵を描き始めたのは?」
「それはもう、物心(ものごころ)ついた時から。漫画の模写とか。小学校低学年の時にはケント紙にオリジナルとか描いてました」

 『こちら街アカリの復興部!』

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 ちょい、ワンシーンをば。

 最近告知しておりました通り、少年エース×カクヨム「漫画原作小説コンテスト」に応募するかたちで、「カクヨム」様にて7月19日(火)よりWEB連載開始予定の完全新作オリジナル小説『こちら街アカリの復興部!』を準備中です。

 コンテスト開始の7月19日(火)から、一ヶ月程度月〜金のデイリーに一日一節ずつ「カクヨム」様で公開という連載形式でいく予定です。

 現在、第二話まで(400字詰原稿用紙で)80枚ほど執筆したところ。

 僕なりの、現在の文脈で『けいおん!(!!)』的五人組の「日常」もの作品をやってみよう的な作品、よろしくです。

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 「歴史建造物擬人化×能力バトル×幼馴染」なオリジナル小説『非幸福者同盟』の方。本日(25日)は「カクヨム」さんランキング143位(累計:現代アクション部門)ありがとうございます。

 こちらの方は本日、最新節「231/聖女からの伝達事項(1)」を更新しておりました。

 一九九九年の物語とリンク。

 この辺りは、もちろん作品単体で読んでも成立するように気をつかいつつ、どの程度前作要素(前の作品を読んでると見つかる面白さもある的な要素)を絡めるか「調整」が意識される箇所なのですが、今回もある程度前作要素も絡める寄りにしてみた感じです。

 『夢守教会』は五話〜七話(最終話)が未発表ですが、プロットは完成しており、理子、優希、巫和、竜志が最後にどうなるのかはもう全部決まっております。

 あとで『夢守教会』の続きを書く時にちゃんと繋がるようにしてるため、色々と世界観・構成関係にリソースが必要で、それゆえに『非幸福者同盟』は遅筆(え)なのですね……。

 『夢守教会』〜『妹の紋章』〜『非幸福者同盟』〜『こちら街アカリの復興部!』と連なる感じの「S市小説シリーズ」。こちらの作品も引き続き読んでやって頂けたら喜びます。↓


非幸福者者同盟/カクヨム


 以下、12年ほど前から僕の小説を読んでくれてるようなコアな読者さん向けの、ちょっとした『夢守教会』→『非幸福者同盟』の「秘密」に関するライナーノーツ。(注:読まなくとも『ひこどう』は楽しめます。)

・『夢守教会』第一話「少女のケニング」で、優希が感じていた「もう一人の優希」とは何なのか? これには表解答と裏解答があります。
・表解答は、第一話で菖蒲さんが解説してる通り。では裏解答は?
・過剰エンパシー障害の優希は、理子と内面の「弓矢(炎輝姫)のイメージ」を共有している。
・理子の本質能力(『夢守教会』時点でこの名称は出てこない)「映認」は本日更新分の『非幸福者同盟』「231/聖女からの伝達事項(1)」の通り。
・理子が「輝きの先」が認識できるのは、「映認」から「永認」に覚醒し始めているから。
・理子が優希に「守れ」と伝えた「輝きの先」にいる少女とは?

 この辺りで(^_^.

『夢守教会』