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 『けものフレンズ(公式サイト)』第9話「ゆきやまちほー」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 やはり前回の感想で書いたとおり、ポスト3.11作品的なものを連想しようと思えばできそうで、「破綻的な出来事(=近年だとやはり東日本大震災が連想されやすい)」が起こった後の、「復旧」の過程を綴ってる作品という気がしてしまいます。

 第8話で「アイドル」が「復旧」したのに続いて、今話で「復旧」したのは「お風呂」。これも、個人的な体験として、本震の日から再びお風呂に入れるまではとても時間がかかりました。僕の場合は一ヶ月以上とか、それくらい。

 最初に一つ街の銭湯が再開したのですが、もう、今話の温泉の装置が壊れてる(うまく作動してない)→復旧させる→みんなでお湯に……の流れは、その頃の銭湯の装置が壊れてる→何とか復旧させた→街のみんながお風呂に入れた……の流れを思い出してしまって涙ぐんでしまってましたよ……。あの時、久しぶりに湯につかって、ホっとしてなんか涙出てきたんだよな〜。

 第2話で「道(経路)」が復旧して以来、どういう順番で劇中で「破綻的な出来事」からの「復旧」の過程が綴られているかは、前回のこちらの感想記事に書いてるので、読んでみて頂けたら喜びます。↓


参考:ポスト3.11作品としての『けものフレンズ』


 そして、「もう僕ゲームできないのか」のキタキツネさんの台詞から、かばんちゃんの機転で生存(続行)、生き延びたキタキツネさんが「復旧」したゲームの電源を入れると、ソーシャルゲーム版『けものフレンズ』の起動音が……というメタネタが炸裂。

 「ゲームの終わり」=「破綻的な出来事」が重なるように描かれていると思われ、「再開」が示唆される展開なのは熱いと思ったのでした。

 そして、「再開」と「再会」がかかってる作品でもあるかと思います。

 ストレートに予想するなら、ミライさん(声の役者さんがかばんちゃんと同じ内田彩さん)と前サーバルちゃん(声の役者さんがアプリ版サーバルちゃんの野中藍さんと推測されている)が「破綻的な出来事」で「別離」した後、何らかの縁(ギミック)でかばんちゃんと現サーバルちゃんが「再会」したっていう物語だと思うのですが、そういえば、第1話も、いったんかばんちゃんとサーバルちゃんはお別れしそうになってから、でもサーバルちゃんはついてきてくれた! また再会した! という、「別離」→「再会」のモチーフが組み込まれていたのでした。

 やっぱり、第1話が、物語全体の構成の圧縮になってると思うのですね。

 その流れで、「破綻的な出来事」はリアルでは東日本大震災を連想できたりなのですから、リアルの方も「破綻的な出来事」を境に「死別」という根本的な形であったり、「避難」などのやむを得ない形であったりで、本当は一緒にいたい人と離れ離れで暮らさなくてはならない人がたくさんいる世相です。作り手の方で意識的にしろ、無意識的にしろ、そういう時代に「別離」→「再会」のモチーフを組み込んだ作品として、この『けものフレンズ』もたち現れてきたのかなと思ってしまいます。

 昨年のアニメーション作品ですと、大ヒットした『君の名は。』も広義での「別離」→「再会」モチーフの作品でしたし、個人的には去年のプリキュアシリーズ作品である『魔法つかいプリキュア!』が、かなり核心的にこの「別離」→「再会」モチーフの作品でありました。↓


参考:『魔法つかいプリキュア!』第49話に組み込まれている二つの「過去との再会」という物語モチーフ/別ブログ


 そんな、ある意味時代の要請としての「別離」→「再会」モチーフの作品として、『けものフレンズ』はこの、そうは言っても陽気さも忘れずにいこうね! な感じの作風で、どういう絵を最後に描いてくれるのかとても楽しみなのでした。

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→前回:ポスト3.11作品としての『けものフレンズ』(第1話〜第8話までの感想)へ
→次回:『けものフレンズ』第10話「ろっじ」の感想へ

【関連リンク1:昨年2016年の「アニメーション」作品ベスト10記事】

2016年「アニメ作品」ベスト10〜過去の悲しい出来事を受け取り直し始める震災から五年後の想像力(ネタバレ注意)


【関連リンク2:『けものフレンズ』とテーマも近いと感じる、今季放映されてる京都アニメーション作品の『小林さんちのメイドラゴン』の感想記事】

小林さんちのメイドラゴン感想