ボンヤリとした意識でそんなことを思いながら、私、弓村理子はゆっくりと上体を起こす。
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「これが"破綻"の前にあなたに伝えられる最後の話になるかもしれない」
菖蒲さんはそう切り出した。
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断線する宇宙。
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ちなみに、私が少女に付けた名前にも、由来はある。だけど教えてあげない。それはたぶん、私がいなくなってしまった後も続いていく『物語』の最後に明らかになることだと思うから。
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最初は純潔の乙女の認識を操作することから、この目的は始まった。全部を、思い通りにしたいんだ。
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リューシ、お前が人に「見て」貰いたいと思うなんて。
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この1999回目の世界を不思議な世界にしてしまえば、あなたが助かるのも、ありになるわ。
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本当はどこにもいない。蜃気楼のような彼女。
心象イメージ……"炎輝姫"が少しだけ薄くなったように感じられる。
菖蒲さんとは、僕が一人で会うことにしよう。
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――証明してみて下さい。人を愛するということが、本当に確かであるということを。
少女の手は日本刀から離れ、そっと自分の胸を抱き締める。崩れ落ちる少女を抱き止める資格がないことを竜志は分かっている。
小説『夢守教会』2017年12月24日(日)より完全新規書下ろしの「続き」を公開開始
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相羽です。
というわけで、僕の処女小説『夢守教会(ゆめもりきょうかい)』の「続き」を公開開始いたします。
第一話「少女のケニング」公開からは十三年ぶり。2009年に同人誌で第四話を発表してからは八年ぶりの『夢守教会』の新作となります。
小説『非幸福者同盟』最終話の更新も来月から始まるのですが。
『非幸福者同盟』には理子が出てきます。でも、『夢守教会』とはちょっと違うカタチでです。
『夢守教会』を知らなくても盛り上がるようには書くけど、やっぱりこのタイミングで未発表の「S市」の「1999年七月」の出来事を描く物語、『夢守教会』の第五話を世に出しておくべきだと思ったのでした。
執筆を中断していた一番の理由は僕の実力でした。一回目の最終話である第五話はかなり凄い話なので、中々書くのが大変だったのです。
ただ、『非幸福者同盟』を十二話分書いてきて、そろそろ書けるなという段階に達しました。
『非幸福者同盟』ここまでの十二話分に比べたら、『夢守教会』残り三話くらい行けるだろ! という心持ちにようやくなりました(笑)。
ミステリ形式の物語なのに、「解答編」手前で止まっていて、犯人も分かってないのもどうなのって感じですしね。
『夢守教会』、けっこうたくさんメールとか頂いていた作品なのですが、結末も犯人も僕しか知らないんだな〜(←書いてないので当たり前)、それもどうなの……と今更思い至りましたので。
10月29日(日)から、第一話「少女のケニング」からエブリスタ様で一、二節ずつ毎日更新して順に第四話「花の名前」まで、12月24日(日)からおもむろに未発表の第五話に入っていく感じにしたいと思っております。
既にある程度執筆済みなので第五話に入っていくのはほぼ確実ですが、その後どれくらいのペースで連載するかは状況を見ながら。かつ、ラストの第六話&第七話にそのまま入っていくかは未定とさせて頂きます。
とりあえず、最初の最終回の第五話には決着つけようと思います。
1999年のS市の「愛」の物語、結末を見届けてやって頂けたら嬉しいです。
