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 相羽です。

 アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト(公式サイト)』第十話「されど舞台はつづく The Show Must Go On」の感想です。

 現在、期間限定で「スタァライトチャンネル(公式チャンネル)」で、これまで放映済みのものを全話観ることができます。↓

 感想は、ネタバレ注意です。

 一部、前日譚コミックス版『少女☆歌劇 レヴュースタァライト オーバーチュア』第1巻のネタバレも含みます。
 ◇◇◇

 今回は、


 真矢さんとクロディーヌさんの話


 と、


 華恋とひかりの話


 とを、分けて書いてみようと思います。

 実際は、前回の「第九十九回聖翔祭の『スタァライト』」のクレールとフローラであった真矢とクロディーヌと、次の「第百回聖翔祭の『スタァライト』」のクレールとフローラが暗示されるひかりと華恋の二組とが関係し合って、いよいよ物語の秘密を明らかにしていくという一話でありました。

 なので、厳密にはこの二組の話は分けられないのですが、分かりやすいように便宜的に前半(真矢クロ)の話と後半(かれひか)の話に分けて感想を書いてみます。

 まずは、前半、


●真矢とクロディーヌの話

 基本的にその話数のメインキャラクターのレヴュー回を通して、そのキャラクターが抱えていた「課題」が何らかのカタチで「昇華」されるというフォーマットの本作。(「昇華」されたキャラクターはエンディングで中心的に描かれる)

 そういう意味で、今回はメインキャラクター的には、天堂真矢さんと西條クロディーヌさんの回でありました。

 僕の感想では真矢さんとクロディーヌさんについては、そんなにも書いてこなかったので、例によってテリー・ライスさん(Twitter)の感想に頼りつつ二人の「課題」とそれが今話で「昇華」された話をざっくりと書いてみたいと思います。

 テリー・ライスさんの、


「少女☆歌劇レヴュースタァライト」アニメ#3 孤高と覚悟の果てに/In Jazz


 に、

 真矢さんが抱えてる「課題」は、


---

This is 天堂真矢。

このフレーズこそ、彼女を一言で集約しています。今現在、頂きで煌く星はただ一つ。その覚悟と孤高があるからこそ、彼女は「星」たりえているわけであり、その「星」の名こそ彼女その人である、というのを言い表しているのです。しかし、「星」が「星」である苦悩もまた潜んでいるわけで。真矢の抱える問題もこれから描かれていくことになるのでしょう。

---


クロディーヌさんが抱えてる「課題」は、


---

クロディーヌは真矢に固執するあまり、自分が見えていない

いわゆる「灯台下暗し」な状況に陥っている、というのが現状考えられうるクロディーヌの問題点です。自分の上に立つ強大なライバルの輝きに目が眩み、自分の姿が見えなくなっている。「自分らしさ」を見失ってしまっているからこそ、武器の宝玉は輝くどころか、色すらも失ってしまっているわけなのですね。この点だけ取ってみると、他の舞台少女たちよりも問題は深刻であるように思います。

---


 と、ありますが、これらはここまで物語が進んでも、だいたいその通りだったんだろうなと。クロディーヌさんの武器の宝石が今までまだ光ってないという話はこの感想で初めて僕は気づきましたよ。

 で、それらの「課題」が今回でどう「昇華」されたのかというと、

 まず真矢様の方は、「星」が「星」である苦悩……というのは、「ポジション・ゼロ」に呪縛されてるみたいな課題だったと思うのですが、

 今回、華恋とひかりに敗北することで、気せずして「ポジション・ゼロ」の呪縛から解放されたカタチになっています。

 「ポジション・ゼロ」にいなくても、クロディーヌさんとフランス語でイチャイチャできる居場所がある。この甘美なフランス語で愛撫し合う(え)イチャイチャシーンの真矢様はなんか自由になった印象で(少なくとも、敗北に打ちひしがれてる感じではない)、わりとギャグでも何でもなく、「ポジション・ゼロ」よりも真矢クロエンドという解法だったのかなと思います。

 一方、クロディーヌさんの方は、「二番であること」「真矢様のサポーター的なキラめき方でもキラめける」ということを、受け入れられた(これは、必ずしも真矢様との「競争」を拒否したわけではないのですが)、そういう可能性にも自分で自分にオッケーを出せた的な解法という感じでしょうか。

 TJさんのTwitterのこのツイートがイイですね。↓

 「ふせったー」になってますが、クリックすると読めます。

 必ずしも二番手のサポーターをネガティブに捉えてるわけでもなく、そういうポジションで輝くキラめきもある、的な話でもあるようにも思えます。

 なので、わりとギャグでも何でもなく、真矢様を超えようと目をギラギラさせてる(「競争」の中での執着)だけよりも真矢クロエンドという解法だったと思います。

 真矢クロエンド万能かよ!?w って感じですが、うちのブログの感想でずっと書いてきた、本作は「競争(仲間を切り捨ててでも勝利を目指す上昇志向)」と「共同体(仲間を大事に)」の二律背反という題材を一つは扱っているのだろう、という話からすると、「競争」側に振れ過ぎていた二人が今話で「共同体」よりにバランス取れるようになったみたいにも捉えられる、真矢さんとクロディーヌさんのそれぞれの着地だったと感じます。

 敗北した真矢さんとクロディーヌさんが「二人」エンドに至れているのは、勝利したひかりさんと華恋さんが「一人」エンド(別れエンド)になってしまうというのと、トレードオフになってるというのがまた重要なポイントかと思います。

 つまり、あるいは別のルート(ループ)で真矢さんが一位(トップスタァ)だった場合は、真矢さんとクロディーヌさんは「競争」エンドで孤独なまま。今回、「共同体」エンド、真矢クロエンドなのは、レヴューデュエット発生&ひかり・華恋ペアに敗北というイレギュラーが起こってるがゆえと思われます。

 その点がさらに、劇中劇「スタァライト」のクレールとフローラの一人エンド(別れエンド)と関係がある……みたいな話をさらに書いていってみます。

 ここから、後半の話になります。


●華恋とひかりの話

 こちらの方が、わりと物語の秘密の核心に迫っていた一話ですが、まず確認しておきたいのは、華恋とひかりは幼い頃に「運命」を「交換」してるらしいという設定です。

 公式ホームページのキャラクター紹介にも書いてありますね。


---

 幼い日に『運命』を交換したひかりと共に、謎のレヴューに参加する。

 (キャラクター紹介ページの愛城華恋の項目より)


 レヴュー『スタァライト』を共に観劇した華恋と『運命』を交換した。

 (キャラクター紹介ページの神楽ひかりの項目より)

---


 「交換」した「運命」とは何なのか?

 ズバリ、これが劇中劇「スタァライト」の筋なのだと思います。

 名前上(クレールはフランス語で「明るさとか光」、フローラは「花(の女神)」)、さらに第九話で華恋とひかりがどちらに共感しているか……から、表面的に対応しているのは、


 華恋=フローラ

 ひかり=クレール



 なのですが。

 二人は「運命」を交換していますので、本来それぞれがたどる「運命(=劇中劇「スタァライト」の筋)」は、


 華恋=クレール

 ひかり=フローラ


 なのだと推察します。

 そして、作中で「運命」の「交換」の一番の比喩は、華恋とひかりの「髪飾り」の「交換」ですので、


 華恋がつけてる王冠の髪飾りは本来は(「運命」の「交換」前は)ひかりのもの。

 ひかりがつけてる星の髪飾りは本来(「運命」の「交換」前は)華恋のもの。



 ということです。

 「交換」という要素が入ってきて話が複雑になるので、少しずつ整理していってみましょう。まず、劇中劇「スタァライト」のストーリーの筋を(現時点で分かってる範囲で)確認しておいた方が良さそうですね。↓


・劇中劇「スタァライト」のシナリオの話

 ここでざっくりと劇中劇「スタァライト」がどんな話だったかを振り返っておきます。

 クレールとフローラの二人にだけ注目して、めっちゃざっくりと説明するなら、


・クレールとフローラが再会するも、クレールはフローラのことを忘れている。
 ↓
・クレールの記憶を取り戻そうと、フローラはクレールと星摘みの塔に昇る。
 ↓
・クレールが記憶が戻ってフローラのことを思い出すも、フローラが輝きに目を焼かれて塔から落ちる。
 ↓
・クレールとフローラは「別れ」エンド。
 ↓
 以下、最初に戻ってループ(推定)



 さらには、「スタァライト」の説明として、


---

 「スタァライト」、これは遠い星の、ずっと昔の、はるか未来のお話。

---


 と第九話で説明されてますので、「未来」と「過去」が貫入し合っている作品なのですね。

 つまり、「未来」(=これから華恋やひかりがどうなるか)が暗示されてる劇中作品であり、同時に「過去」(=前のループの華恋やひかりがどうだったのか)も暗示されてる劇中作品であると。

 もう、じっくり追ってる視聴者の方はだいたいアニメ版のこれまでで、華恋とひかりが、劇中劇「スタァライト」のどういう筋をなぞっているのか分かってきたのではないでしょうか。

 次では、さらに分かりやすく捉えるというのを試みてみます。


・ひかりと華恋の「運命」の「交換」に関して

 ひかりと華恋が「運命」を「交換」した後のルートと、交換前の世界(?)はけっこう関係し合っているようですし、そもそも「運命」通りに進むけどどこかで「運命」をブレイクする的なストーリーと思われるので、本来はこれらは厳密には分けられなさそうです。僕個人も、分けて捉えてるというよりは、何というか頭の中では立体的に捉えています。

 と、厳密には分けられない事項とは思うのですが、分かりやすさを重視して、今回はいわゆる「場合分け」をあえてやってみましょう。

 4パターンに「場合分け」した方が伝わりやすい気がするので、ここで便宜的に、


1. 華恋とひかりが「運命」の「交換」をしない場合のルート
2. 華恋とひかりが「運命」の「交換」をした場合のルート
3. アニメ版のこれまでのルート(イレギュラーが起こってる)
4. アニメ版のこれからのルート(第十一話、最終話の予想)


 に分けて整理していってみましょう。


1. 華恋とひかりが「運命」の「交換」をしない場合のルート

 本来だったら二人が辿るはずだったルートですね。

 この場合は、


 華恋=クレール

 ひかり=フローラ



 ですから、

 本来だったら、最後に塔から落ちるのはひかりだった。ということになります。


2. 華恋とひかりが「運命」の「交換」をした場合のルート

 アニメ版で中心的に描かれる(はずだった)ルートですね。

 この場合は、


 華恋=フローラ

 ひかり=クレール



 です。第九話でそれぞれが共感を示している通りですね。

 今にして思うと、


・ひかりは(おそらく)何らかの意味で記憶を失っている(ロンドンで華恋のことを忘れそうにもなってた)点でクレールである

・華恋の方は「約束」を覚えているという点でフローラである。


 という意味合いが感じられます。

 アニメ版はこのルートで進むはずで、やはり最後は、フローラである華恋が塔から落ちることになります。

 第一話で挿入される華恋が塔から落ちる暗示(?)の映像は基本的にこのルートのものと捉えておきたい感じです。


3. アニメ版のこれまでのルート(イレギュラーが起こってる)

 きました。本当だったら「2」の通りに進むはずだったんだけど、イレギュラーが起こってる、今回のアニメ版で描かれているルートです。

 イレギュラーの一つは大場ななさんですが、それは最後に後述するとして、ここでは華恋とひかりの話を中心にします。

 これ、たぶん第一話で華恋が部屋から出た時に王冠の髪飾りを取りに一度部屋に戻った、つまり王冠の髪飾りに象徴される「運命」の「交換」前のフローラであるひかりを忘れないという選択をした時に、イレギュラールートに分岐したのではないか……という説を僕は取ってみたいと思います。

 つまり、「2」の通りに進むはずだったのが、上記の選択をしたことで、「1」が貫入してきてるイレギュラーな謎ルートになってるのですね。

 ここでは、基本的には「2」の通り華恋はフローラとしての筋を辿りながら(再会の時、ひかりのことを覚えているなど)、時々「1」の本来のクレールとしての華恋になったりします。おそらく、アニメ版の華恋が前のループ(?)でのひかりとの出来事の記憶を失ってるっぽいのは、この「1」の華恋、クレールとしての華恋の方の要素です。

 第九話で大場ななさんがイレギュラーは華恋だという趣旨のことを言ってましたが、この辺りの「1」と「2」を両義的に持っているのもそのイレギュラー性のゆえんかもしれません。本来の劇中劇「スタァライト」通りだったら存在しなかった九人目ですね。

 今回の第十話で「交換」のモチーフが使われているところを追いながらこの説を思いつきました。

 真矢さんとクロディーヌさんは、「第九十九回聖翔祭の『スタァライト』」のクレールとフローラ。

 ひかりと華恋は、「第百回聖翔祭の『スタァライト』」のクレールとフローラを目指す。

 「競争」原理で一つの椅子を奪い合うという描かれているシステムからすると、「2」の通りなら、華恋は「フローラという一つの役」を争ってクロディーヌさんとぶつかるはずなのです。

 ですが、今話のレヴューシーンの最初では、華恋さんは真矢様とぶつかります。これは、「クレールという一つの役」を争ってることになりますので、この時の華恋さんは「1」の華恋さんです。

 そして、華恋とひかり二人での「アタシ再生産」の台詞の後は、戦う相手を「交換」。今度は華恋はクロディーヌさんと戦います。この時は「フローラという一つの役」を争ってクロディーヌさんと戦ってるわけですから、「2」の通りの華恋です。

 ところが、最後にもう一転。決着のシーンでは、やはりぶつかるのは真矢様VS華恋なのです。つまり、決着は「1」の華恋として、「クレールという一つの役」を真矢様と争って勝ったということになります。「1」と「2」が貫入し合う複雑なレヴューですが(おそらくだから「運命」のレヴュー)勝利シーン時点では、華恋の「運命」は「1」です。

 そこから続いていくわけですから、さらに今話のラストシーンを続けて観ていくと、劇中劇「スタァライト」のラストシーンのごとき「悲劇」のレヴューの時は、「1」だった。つまり、このままだと「2」ルートはブレイクされて華恋がクレールとして勝利し、フローラとして落下するのはひかりの方だった……

 というところで、おそらくはひかりが華恋を救うため(「2」、クレールとしてのひかりとして、「スタァライト」のクレールのようにこのタイミングで前のループの「記憶」が戻った?)、結局「2」の通り、勝つのはひかり(クレール)、塔から落ちるのは華恋(フローラ)にした……ってことなんじゃないかと。

 ひかりは何らかの意味でクレールになることの辛さなりを知っていて、華恋の代わりにやはりクレールになった……のだと思います。

 というか、ここでループして最初に戻るとなると、劇中劇「スタァライト」の通りならクレールは記憶を失いますので(第八話でロンドンのひかりが華恋との「約束」を忘れそうになっていたののヴァージョンアップ版でしょうか)、ひかりは記憶を失うクレール役はまた自分が引き受けたのかなと想像したりしますが。

 つまり、今回の第十話ラストは、「2」の筋でいくはずだったところに「1」が貫入してきたこれまでのアニメ版は何かブレイク的なことが起こりそうだったけど、結局「2」の通りになったエンド、なのですね。大場ななさんが恐れていた、ひかりに問うた「別れ」エンド。

 第一話の華恋がひかりに落とされて塔から落下する暗示(未来、あるいは前のループのラスト?)通りには、いかないよ、とブレイクする予感を含ませつつ進んできたのに、結局あの暗示通りに(ほぼ)なったエンド。

 ここで、残り二話です。


4. アニメ版のこれからのルート(第十一話、最終話の予想)

 「2」の通りに修正されたので、おそらく、(何らかの意味で)またループし、そこにひかりはおらず、ひかりも(何らかの意味で)記憶を失っていると思われます。

 じゃあ、誰が、ひかりのことを覚えているのか?

 今回の感想、さいごの項目です。


●失われるひかりと彼女を覚えている「観測者」、主客の逆転について

 第十一話からのラスト2話は「2」の通りとして幕があけると予想されるので、フローラである華恋はひかり(クレール)のことを覚えているかもしれませんが、それだけでは、そのままです。「その先」の「何か」は描かれません。

 「その先」の「何か」が描かれるとすれば。「2」ブレイクルート的な、新たなルートが描かれるとすれば、その要因は何なのか。

 ここで、予想ですが、オープニングなどの劇中で使われている「花びら」は「観測者」、つまりひかりを覚えている者、という意味合いなのでは? ということです。

 一枚だけ出てくるところと、無数に出てくるところとあります。

 一枚の比喩はそのまま名前の通り「華恋」だけはひかりを覚えているということだと思うのですが、それが無数になり得る。

 つまり、ひかりのことや物語のことを覚えている者、「観測者」は他にも無数にいる……という展開になってブレイクルートに突入していくのではないかと。

 ここで、大場ななさんの「観測者」ネタが繋がるのか!? と予想してみて既にテンションが上がり気味ですが、今話のレヴューシーン、戦う四人以外のメンバーも、「観測者」として客席にきていたのがキーのような気がします。香子の「観るの観ないのネタ」を通して、わざわざ「観測者」の大事さを強調したりもしています。

 つまり、ラスト二話のどこかで、ひかりの「観測者」が華恋だけの状態から、無数に広がっていく展開が描かれると予想。

 ここで、主客の逆転。

 華恋は「みんなをスタァライトしちゃいます」という「舞台少女」。決め台詞の時、スポットライトが外側に向かっていって、つまり、客席にいるみんな=視聴者をもスタァライトしちゃいますというのがカッコいい表現だったわけですが。

 最後は、みんながひかり(と華恋)をスタァライトする。客席の者達が、視聴者たちが、ひかりのことを、一度きりで儚かったかもしれない虚構的な一つのループ(再演)のことを、覚えている……って物語なのかな、と。

 だから、そういったアニメのエンドの後はアプリ版をダウンロードして、あなたの「舞台少女」をスタァライトしてやってくれよ(笑)エンド、みたいな。

 あるいは、昨今のコンテンツ界隈において、「推し」のことをファン(観客)がしっかりと覚えていることの意義をメタに表現する的なエンド、みたいな。

 わりと、真面目に考えつつ、こんな方向だったら熱いな〜的な予想です。

 外れたら、ゴメンね〜。

→アニメ版Blu-ray



→劇中歌アルバムVol.2



→前回:アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第九話「星祭りの夜に」の感想へ
→次回:アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第十一話「わたしたちは」の感想へ
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