アニメ『ゾンビランドサガ(公式サイト)』第3話「DEAD OR LIVE SAGA」の感想です。
ニコニコでの配信はこちらから。
感想は、ネタバレ注意です。
前回第1話&第2話の感想(こちら)で、
ゾンビィ(虚構)
と、
彼女たちが死んでいても回っていた世界(現実)
がコンフリクト(衝突)したり、時に和合したりっていう物語の動力がある作品かもと書いたのですが。
今話の駅(?)前のライブシーンは、まさに虚構と現実の境界領域的なライブシーンになっていて、わりとスリリングな方向で良かったです。
虚構っていうか、ゾンビィ(死者)なのですが、お盆に亡くなったご先祖様たちがあちらから一時戻ってくる……的な話を亡くなった側から見た光景というか、一人だけライブに見入って踊ってくれた女の子はフランシュシュ的には救いになってるシーンですが、別の角度から見るとあの女の子は亡くなった人たちに惹かれてるので、あそこでお母さんがやってきて現実(生者の世)の方に連れ帰っていくのはまあ正しいんだよなと。
虚構と現実、
佐賀と東京、
を橋渡しする存在としてのゾンビィでフランシュシュ、どうも、佐賀的なものとして、横(共時的共同体)と縦(歴史的な繋がり)の縫合(分断されていたものを復元する)……という要素を持ってきているようです。
まず、横(共時的共同体)としては、分かりやすくフランシュシュのメンバーでも、最後には愛さんも純子さんも来てくれた、佐賀のみなさんも第1話のメタルファンの二人、第2話のお年寄りたち、第3話の女の子……と繋がりができた、やっぱり人と人とは助け合い(共時的共同体)だ! ……ということなのですが。
僕的に興味深かったのは、縦(歴史的な繋がり)の方です。一つは、水野愛が亡くなった平成のアイドルで、紺野純子が亡くなった昭和のアイドルということで、「アイドル」の範囲で「歴史」を描いていること。
ゾンビィ(虚構)に「死者」の要素があると書きましたが、佐賀で昭和と平成の亡くなったアイドルが歌い、踊る……というのは、過疎化・少子化対策に、過去のコンテンツの力を借りる……的なメタな意味合いを感じました。「マンガ図書館Z」みたいな発想ですね。何もかもなくなった的な感覚があり、失われた20年を経た現在でも、スーパー過去コンテンツの歴史的な積み重ねだけはある国です。それを、使っていこうと。昭和コンテンツを、海外の人が好き……みたいな話はマジであります。
で、「アイドル」の範疇で純子さんを通して昭和まで遡りつつ、そこからもう一層奥行があって、そこから骨太な佐賀の歴史、日本の歴史まで遡っていけるような遠景も含まれてる(佐賀城とか、佐賀の歴史要素を随所に盛り込んでいる)作品であるということ。アイドルを入口にして、佐賀の歴史に興味を持つ……みたいなことがあってイイよね的な話で、『刀剣乱舞』で実際の日本刀や日本史に興味を持つのもイイよね的な話です。たとえば『FGO』(海外ユーザーも多数)で大隈重信を実装して、インバウンド需要で海外客が佐賀に殺到とかを狙っていくのは、僕はある程度まではアリな戦略だと思います。そっちの方向の作品の、2018年ラストクール作品が本作という感じです。佐賀七賢人!
「一人じゃないというのは、思ったより悪くなかったです」(紺野純子)
には、横(共時的共同体)の意味で一人じゃなくて良かったという意味と、縦(歴史的な繋がり)の意味で一人じゃなくて良かったという意味の二つの意味がありそうです。彼女から見れば、平成のアイドルである愛が歴史を継いでくれて良かった。我々はだいぶ危ういけれど、まだ完全に「歴史」と切り離されたわけじゃない。通時間的な過去のコンテンツなり人なりは、現在において競合する敵対者ではなく、学ぶ姿勢を忘れずに過去との繋がりを縫合し続けている限りにおいて、現在にリソースを追加してくれる味方なのであった。純子×愛カップリングイイね!
そして、二人の距離を縮めるきっかけになった歴史(記憶)がない源さくら。
役者の本渡楓さんがイイですね。失礼ながら存じ上げてなかったので、何者!? と思って調べちゃった。
記憶のない存在、歴史と歴史を繋げる者、メタフィクション要素、このそこはかとないディケイド感。ゾンビランドサガ、主人公の役者さんイイよね。本渡楓さん何者だと思って調べちゃった。
— 寂しいシロクマ(相羽裕司)/仙台市太白区 (@sabishirokuma) 2018年10月20日
アイドルでディケイドでサガ(地方)、平成のラスト手前クールに相応しい作品だと思うのでした。
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