相羽です。

 年末恒例の、その年に触れた創作作品のベスト記事です。

 アニメだけから選んでる年とか、色んな部門を選んでる年とか、全部シャッフルから選んでる年とか、年によってはやってなかったりとか、わりとアバウトなんですが(え)、今年は全部(小説、漫画、アニメ、ゲーム)シャッフルの中からベスト5を選ぶかたちでやってみます。
 ◇◇◇


 第5位:『ちかのこ』

 描かれているのは「愛」だと思います。これは本当に。

 ポイがノコを好きになっちゃうんですが、いつポイがノコを好きになったのか。ファンの間では所説あるのかもしれないですが、僕はクリスマスの夜にポイサンタがノコの部屋にいって、眠るノコの横でノコが「欲しいもの」としてブーツに入れていた「無償の愛」という紙をポイが見つけたところだと思います。

 ポイは予め用意していた米10キロ(笑)をブーツに入れた後、「無償の愛」として眠るノコの額にキスをする。

 そこで、ノコの「泣いたあと」に気づく。

 ポイはお金持ちなので物質的には恵まれていて、愛とかは貰う側だったようなお嬢様です。ここで、自分が無償の(物質的じゃない)愛を与えられることに目覚めちゃったんじゃないかなぁと思うのです。

 このシーンにとどまらず、細かく読んでいくと基本ギャグ調の中で、微細なシーンで「愛」とか「幸せ」を描いてる箇所があるのに気づきます。

 らぐほのえりか先生は『けいおん!(!!)』が大好きな作家さんですから、『けいおん!(!!)』における「梓が唯から貰った飴玉」的なものを、ずっと描き続けてるのかな? という気がしています。


・「梓が唯から貰った飴玉」って?↓

けいおん!!感想/第24話(最終回)「卒業式!」

参考:ちかのこ/感想

ちかのこ 1 (E★2コミックス)
らぐほのえりか
廣済堂出版
2018-03-10





 第4位:映画『リズと青い鳥』(公式サイト

 『けいおん!(!!)』『たまこまーけっと』『たまこラブストーリー』、映画『聲の形』などの山田尚子監督の最新作青春映画。

 「青春」の定義なのですが、「自意識の誤認」なのかなと。

 当初、希美は自分を青い鳥だと、みぞれは自分をリズだと誤認している。

 自分が何であるのかを誤認してるんですね。

 自分は飛んでいける/飛んでいけないと自分を誤認している。

 その思春期あるある的なある種の「イタさ」。

 ただそれが悪いことなのか。解消して「青春」を終えて現実を見る「大人」になることだけがエラいのかというと、そうでもない、みたいな微細な感覚も切り取っている映画かと思います。

 僕の解釈ですが、ラストシーンでも希美とみぞれのお互いのお互いに対する「誤認」は解消されてないですよね。

 これは、


参考:本当の気持ちが伝わらないのに幸せ?漫画「聲の形」の魅力を紹介/マンガタリ

参考:小林さんちのメイドラゴン/感想/第10話「劇団ドラゴン、オンステージ! (劇団名あったんですね)」(ネタバレ注意)


 で書いたのと似た感じです。すれ違ったままの「世界」と「人間」です。

 でも、それはイケないことなのか?

 「ハッピーアイスクリーム」って言いつつ、実のところお互い別に相互理解とかはできてなくて、でもこの映画のような時間の全てが無駄だったかといったらそれも違っていて、少しだけ何かが進んだ感覚が残留して、映画は幕を閉じている。

 その、イチかゼロか、白か黒かの世界はぶっ壊す(笑)、境界領域的でグラデーション的なものをこそ切り取るというのは、京都アニメーションイズムっぽくて好きだったりもするのでした。

参考:リズと青い鳥の感想〜伝わらないまま美しい時間を生きる(ネタバレ注意)

リズと青い鳥[Blu-ray]
種敦美
ポニーキャニオン
2018-12-05





 第3位:劇場アニメ『薄暮』ティザームービー

 僕は『Wake Up,Girls!』旧章の頃にけっこう山本監督の講演とかを聞きにいっていたのですが、山本監督が影響を受けているのはやはり宮崎駿監督です。

 で、宮崎駿監督の真髄は、ドラマとかストーリーとかよりも、画面、絵に宿る「アニマ」であると。

 アニマはラテン語の「生命や魂」ですが、山本監督は何気ない「そこ」に宿ってるもの、くらいのニュアンスでこの言葉を使ってる場合が多いような気がします。いわゆる八百万の神、アニミズム的なことも念頭において、だから語源的にもそこから発生して「アニメーション」なんだと。

 劇場アニメ『薄暮』には「アニマ」があると感じられるには十分なティザームービーだったのでした。

 『薄暮』の「クラウドファンディング用特報」用のキャッチコピー、


 この世界には、まだ愛がある。


 アニマは、愛を祝福しています。祝福が大袈裟なら、風景として「愛」を見守っている感じ。

 (小説版を読了済みですが)『薄暮』の中で描かれる初恋は、脆いようなニュアンスも感じられます。無駄って、一笑にフされてもしょうがないような。

 ただ、大きい破綻があった場所だとしてなお、アニマが、何気ない郷土の風景に、バイオリンの音に、そして薄暮に宿り続けていて、祈りのようなものは我々が生きる地域を包んでいる。こういった感覚は、東北で生きてる人間は直覚的に持ってます。その祈りのような「何か」は、初恋とかを優しく包み続けています。

 震災で、ある意味消費文明的・物質的な豊かさがいったん全部剥ぎ取られた状態を身近で観てきた経験がある者としては(作中では、雉子波祐介の立場ですね)、全てが一度壊れてしまってなお、そういった不定形の善なる「何か」が、今でも日常から連続して存在し続けている。そういった感覚を信じたくなる。そういうのがあります。

 福島の街・風景を切り取っているティザームービーラストがイイですね。

 2019年公開予定とのことなので、とても楽しみにしています。

参考:アニメーション映画『薄暮』のティザームービーが公開されました

参考:Wake Up, Girls!(旧章)の感想



 第2位『Fate/Grand Order』第2部「Cosmos in the Lostbelt」(公式サイト

 今年はイリヤ(シトナイ)が出てきたところが個人的には一番盛り上がりました。うちのシトナイさんは宝具Lv.2だゼ!

 『Fate/stay night』の桜ルートラストの(一見)ハッピーエンドの風景に入れなかった存在。

 バベッジ卿とかと似た立場ですよね。自分自身は栄えることがなかった人類史だとしても、信じるに足る何かはあったから(イリヤからしたら士郎でしょうね)ソレは守る。


●『Fate/stay night』の桜ルートってどういう物語だったの?

間桐桜ルート(Heaven's Feel)/感想 (管理人の別ブログ)


 『Fate/stay night』セイバールートの一番の名場面で士郎が問う言葉。


 けれど何もかも無かった事になってしまったら、一体、奪われた全ての想いは、何処に行ってしまうのだろう(衛宮士郎)


 に対する一つの解答。

 失われた「たましい」であるイリヤは、人類史の守り手となった。慰霊。失われた存在にも、意味はあるという、競争の中で犠牲を出しながら駆動し続ける消費文明と実存を描いている奈須きのこ文学のある意味の結論。

 ロシア、北欧、中国ときて、来年はいよいよインド神話、第2部第4章「創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ」の配信がきます。インド神話も仏教も好きなので超楽しみ。ミルチア・エリアーデ『世界宗教史』とか読んで予習していますw 来年の展開も、とても楽しみなのでした。

参考:FGO感想・プレイ日記

世界宗教史(8冊セット) (ちくま学芸文庫 エ)
ミルチア・エリアーデ
筑摩書房
2000-10-01







 第1位:『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(公式サイト

 これは、久々に放映中の三か月間夢中で観て、その間はいつも作品のことを考えてましたね。

 もともと、アニメの感想を書くブログとしてはじまった感がある当ブログなのですけど、タイムリーに視聴して全話分感想を書くTVシリーズのアニメ作品というのは久々だったのではないでしょうか。

 昔ながらの読者の方向けには、個人的に『機動戦士ガンダムSEED(DESTINY)(感想)』とか『コードギアス 反逆のルルーシュ(R2)(感想)』に対する熱量くらいで再び向き合えることができた作品です。

 第十一話のラストがかなり好きなのですが。

 それぞれ、搭の上を目指すように(競争で勝ち抜くように)宿命づけられていた舞台少女たちが、

 失われた「ひかり」をもう一度見つけるために長い階段を下りていく(上昇だけがイイことだという価値観を手放してるってことね)。

 そこからの、全てを託された主人公・愛城華恋がみせる、最終回の例の「搭(競争原理・進歩史観)」をああしてしまうロックな展開。

 視聴者の価値観を揺さぶってみるくらいをやってのアニメだよなと、久々に感銘を受けたのでした。

 思いのたけは、こちらの最終回の感想・考察記事に書いてるので、改めてリンクを張っておきます。1000人以上の方に読んで頂けた今年の僕のベスト記事ですねw↓

 現在、年末年始の期間限定無料配信をやってるので、まだ観ていないという方は是非。↓



 以上、今年2018年の「ランゲージダイアリー的ベスト」でした〜。

 自分の執筆とかが中心になりつつも、来年もタイミングが合った時に創作物に触れて、感想とか書いていけたらな〜と思っているのでした。

●参考リンク:以前の当ブログのベスト記事など↓

・2016年
2016年「アニメ作品」ベスト10〜過去の悲しい出来事を受け取り直し始める震災から五年後の想像力(ネタバレ注意)

・2015年
2015年「アニメ作品」ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)

・2014年
2014年ランゲージダイアリー的ベスト、「アニメ部門」へ
2014年ランゲージダイアリー的ベスト、「漫画部門」へ

・2013年
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「漫画部門」へ
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「アニメ部門」へ
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「小説部門」へ

・2012年
ランゲージダイアリー的「2012年にふれた作品ベスト10」

・2011年
ランゲージダイアリー的2011年ベスト/アニメ編
ランゲージダイアリー的2011年ベスト/小説編

・2010年
ランゲージダイアリー的、2010年見たアニメベスト

・2008年
ランゲージダイアリー的、2008年ベスト

・2007年
ランゲージダイアリー的2007年ベスト

・2006年
音楽部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト
映像部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト
漫画部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト
活字部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト

・2005年
ビジネス書部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
音楽部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
漫画部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
映像部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
小説部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト

・2004年
2004年度音楽部門ベスト。
2004年度映像部門ベスト。
2004年度漫画部門ベスト。
2004年度活字部門ベスト。
2004年度ベスト・オブ・ベスト。