漫画『鬼滅の刃』第1巻の感想です。
ネタバレ注意です。
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第1話で家族が惨殺され、1人生き残った妹の禰豆子(ねずこ)も鬼になってしまう。
連載開始が2016年ということで、制作準備時期を考えても、やはり東日本大震災後の想像力で作られている作品という印象を感じたりします。
2016年時点で読んでいたら、僕もこちらの記事に漫画枠も設けて『鬼滅の刃』も取り上げていたかもしれません。↓
参考:2016年「アニメ作品」ベスト10〜過去の悲しい出来事を受け取り直し始める震災から五年後の想像力(ネタバレ注意)
たとえば災害で家族を失い、1人残った者も障害が残ったとして、それでもサバイブした者がどう生きるのか……みたいな「生きる動機」にまつわる話であると、連想を働かせてリアルとも結びつけようと思えばできる気もします。
2016年〜2017年頃は個人的に震災後の日本の創作の流れとしては大事な時期だと感じていて、たとえば2017年のはじめになると、あの作品が大ヒットした年だったりもします。
そう、『けものフレンスです』↓
参考:ポスト3.11作品としての『けものフレンズ』その1
同じ系統の想像力の源(震災後の日本で、それでも何か創らなきゃ的な方向のもの)から、片方は『けものフレンズ』に出力され、もう片方は『鬼滅の刃』に出力され得る……というのは興味深いのでした。
そこからさらに反転して、出力され表現されているものから、源に向かっていってみると、両者とも何らかのカタチの愛情とかで描かれているのだろうなと感じたりします。
上記記事の10作品+『けものフレンズ』は、どれも死者の弔い的な要素、もうちょっと言うと「生者の世界と死者の世界との相互貫入が描かれる的な要素」があるのですが。
『鬼滅の刃』第1巻でも、死んでしまった家族たち、そして母から炭治郎(たんじろう)が禰豆子を任されるシーン、及び、死んでいるはずの錆兎(さびと)と真菰(まこも)に炭治郎が稽古をつけてもらうシーンなどから、そういった生者の世界と死者の世界が何かしら「意味」のようなもので関係し合っている世界観を描いており、全体性として一種の「慰霊」的なものを表現しているという部分はあるように思えます。
(『鬼滅の刃』1巻 吾峠呼世晴/集英社 より引用)
大きな「破綻」を経験した炭治郎が、何らかのカタチでの「再生」へと向かう物語(第1巻時点では、その経路は家族の仇討と妹の禰豆子を人間に戻すこと、という炭治郎の目的で示唆されている)とも読めそうです。
スーパー大ヒットしているのはもちろん知っていましたが、いざ読み始めてみたら兄妹ものだったの!? という感動がありました。やはり、今、必要なのは妹か……。
人間と人外の境界存在になった妹(禰豆子)とお兄ちゃん力高い兄(炭治郎)、これはヤバいです。想定外の角度から高めの兄妹力を撃ち込まれて悶えつつ、続きを読み進めていくのでした。
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