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 相羽です。

 週刊少年ジャンプ(WJ)48号(2020年)の感想です。

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 ネタバレ注意です。
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●ONE PIECE(ワンピース)

 作品全体として旧世代と新世代の戦いが描かれている最近の『ONE PIECE』ですが。

 最近は特に、旧世代の象徴としてのカイドウ(親)と、そこから自由になる新世代のヤマト(子)……という辺りに焦点があたっているという感じ。

 ヤマトが性別を反転させていたというのも、親世代的な旧来の価値観からの「自由」要素の一つと思われます。

 旧世代の方は、「既得権益」とか、「支配」とか、そういったキーワードと結びつきがち。

 劇外のことに目を向けてもイイのなら、尾田先生、自分自身と『ワンピース』という作品がそろそろ「既得権益・支配」側になってきていることには自覚的で、創造的諧謔(かいぎゃく)も込めながら描いたりしていそう。

 作品の大きい縦軸の物語の方。「世界」の謎、「歴史」の要素とかも、世界政府が確立するのに一枚噛んでいるらしい既存の世界観・歴史観が「既得権益・支配」側で、「ラフテル」とか「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」とかは、それを覆してしまえる類のものなのかも……的な対照構図なんですよね。

 何しろ海賊(基本的に反体制的)モチーフの作品ですから、全部ひっくり返してやったぞ! というカタルシスで終わっても納得な方向ではあるのですが、ここまできたら、旧世代側も新世代側も、どっちが勝ったとかじゃなくて、何かしら「昇華」されたエンディングに向かっていってほしいな〜というような読者としての欲求はあります。

 あまりに連載期間が長いので、僕のように自分が旧なのか新なのか最早分からなくなってる読者も多いと思われ、それ幸いに。

 国民的大ヒット漫画なので、旧とか新とかそんなにも闘争的じゃなくて、みんながハッピー! みたいなラストが個人的には読みたかったりです。




●チェンソーマン

 僕本体は未読だったなれど、SNSで現在「マキマさん」なる強敵との戦いが盛り上がっているのは把握していた……という作品です。

 話題作ということで、こちらも第1巻を購入。

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 おそらく考察などもさかんな作品で、既にたくさん語られていることであろうとは思うのですが、第1巻+最新2話くらいを読んだ段階だと、『寄生獣』的な想像力で描かれている作品なのかなという初見的な印象です。

 というか、マキマさんは第1話から出てるのですね(第1巻を読んだ。)。

 第1話から登場している規格外の強敵に敗北するも、バディとの別離(喪失)で主人公が復活するという熱い展開です。

 同じ「身体の一部を喪失する(象徴的な意味を含む)」というシチェーションでも、第1話冒頭でデンジが言及している手放した腎臓(帰ってこない)などとは違って、今話のパワーとは地獄での再会を誓っているという点でデンジという人間の物語の変遷を表現しているというのは深読みが過ぎるでしょうか(つまり、また「喪失」に辿り着いたとしても、これまでの物語には意味があった。)。




●夜桜さんちの大作戦

 今回、週刊少年ジャンプをまた買い始めて色々な未知の作品に触れる中、一番良いな、僕の性に合ってるなと感じた作品です。

 前話ラストの新技発動のシーンはカッコ良かったです。

 勢いで第1巻は購入。

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 この作品も、『鬼滅の刃』と同様主人公が家族の喪失を背負っている作品なのですよね。

 「破綻」の時からけっこう時間が流れた。そして、傷ついていた自分にも新しい家族ができて、じゃあそれをどう守るのか、みたいな動機のお話と解釈してみたりしているのでした。




●逆襲シャトル/金未来杯/エントリーNo.4

 「金未来杯(ゴールドフューチャーカップ)」をまだやっていたというのにまずは驚きです。

 「金未来杯」というと、僕の世代なんかは「タカヤ-おとなりさんパニック!!-」を思い出しますが。え、知らない? ほら、「あててんのよ」の……あ、知らない? そ、そうですか……。

 本作は、バドミントンを題材としつつ、バドミントン競技の特性としてある、攻守が入れ替わる時に焦点をあてて、「逆襲」として演出してクライマックスに持ってきている作品。

 強敵に認めらたところで終幕しており、主人公たちのバドミントン競技者人生もここから攻守が入れ替わる、「逆襲」のターンに入ったところで結びとなっているとも解釈できそうです。

 今回は読み切りですが、20巻くらいの長編だったら10巻くらいで物語の縦軸も「逆襲」に入ったところで、競技パートにも何らかの「逆襲」が訪れる、みたいな。

 そういう意味で、(読み切りで可能なら)競技パートの「外」の要素でもドラマがあって、そちらのパートの「逆襲」と競技パートの「逆襲」がシンクロするような展開も見たかったかもという感想もあります。

 競技の「外」パートは恋愛でも家族でもミステリでもイイので、そういう「外」の構造がクライマックスで「内」である競技の「逆襲」パートとシンクロしたらと思ったりもしたのでした(今回は尺が限られているのでけっこう難しいとは思うのですが。)。

 主人公の妹さんが可愛かったので、もっとドラマ本体に関わってきてくれたらとも思うのですが、一方で、特に主人公の心情面のメインドラマには関わらずにお菓子パーティやってるポジションだからこそカワイイという可能性もあるので、漫画の作劇というのは何が正解か分からない冥府魔道だなと改めて思うのでした。




●ぼくたちは勉強ができない

 いつの間にかルート分岐しての四つのパラレルストーリー連載が始まっていた本作。


参考:ぼくたちは勉強ができない:四つのパラレルストーリー連載へ ルート分岐 ジャンプの人気ラブコメマンガ/MANTANWEB(まんたんウェブ)


 パラレルストーリーゼロとして、しれっと「IDOROLL(アイドロール)」の続きを混ぜたりはできないんですかね。筒井大志先生、ずっと待ってます。


参考:IDOROLL(アイドロール)/第1巻/感想


 桐須先生好きなので、わりと嬉しく読んでます。

 今話も、いっしょにお風呂など、ギャルゲーでいうと恋愛パート本編というより、既にイチャイチャ状態になったのが描かれるボーナスディスクよりのイベントが描かれるなど。

 一昔前のギラギラした僕なら、『ひぐらしのなく頃に(解)』などが担ったゼロ年代頃の論評とかを例にあげつつ、ハーレム的な想像力で全部のルートなんて有り得ないんだよ、一つを選ばなきゃならないんだ、「一回性」だよ、とか言ったかもしれないのですが。

 もはやまるくなりまくってるので、これはこれでキャッキャウフフなパラレルストーリーとして素朴に楽しいよなと思ったりしながら読んでるのでした。






●あやかしトライアングル

 矢吹先生がまだ週刊少年ジャンプで描いているというだけで嬉しくなる一作です。

 「BLACK CAT」の感想を毎週書いていた日々の記憶が蘇ってきます。

 厳しい世情ではありますが、黒猫紳士だったみなさんにも元気で生きていてほしいと心の底から願っております。みんな健康に気を使わないとな年齢になってるでしょ。

 こちらも勢いで第1巻は購入。

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 妖怪! ニンジャ! ときつつ。

 第1巻の帯のコメントで、矢吹先生は「ラブコメ、バトル、お色気なんでもアリのちょっと懐かしい世界観」を楽しんでもらえたら……と書いておられますが、すごく、好きな雰囲気です。

 相変わらず女の子キャラクターがカワイイですね。矢吹先生なので、テンション上がってきたらたぶんこの作品にもイヴ(金色の闇)出ますから。それまでじゃんじゃん応援したい。




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