『おかえりモネ(公式サイト)』第2週「いのちを守る仕事です」(第8回)(5月26日放映分)の感想です。
ネタバレ注意です。
「木」に関する語りが、象徴的に物語全体にかかっているのであろう本作。
今話では、
・木は増えればイイというものではない(小さい木にも光をあてる必要がある)。
・木は切られても無駄にはならない、カタチを変えて役にたっていく。
という二点が、父・耕治の人生にかかっていくのですね。
音楽の道を諦めたという意味では、彼は「切られた木」です。
おかげて小さい木であるところの娘の百音と未知が生まれ、育ち、成長した(彼が選んだ銀行員としての経済基盤の確保は、娘の成長にとって大きな要因でしょう。)。光があたった。
その前提で、百音は少年に対して、「切られた木にも意味がある、役にたっている」ということを語ります。
「切られた木」は象徴的に父・耕治のことですから、このシーンは間接的に娘の百音が父の耕治のことを認めている表現になっているのですね。まだ、直接言葉で伝えたわけではないとしても。
「昔は漁師と山主って深い縁があったようですね」という前提のもと。
作中のキーセリフ、龍己おじいちゃんの、
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山の葉っぱさんたちが海の栄養になるのさ、山は海とつながってるんだ。なーんも関係ねーように見えるもんが、何かの役に立つってことは世の中にいっぺーあるんだよ。
(『おかえりモネ』第1週「天気予報って未来がわかる?」第2回より)
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にも続きと思われる箇所が付け加えられます。
いわく、
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そして、じいちゃんの牡蠣やホタテを美味しくしてくれる。
(『おかえりモネ』第2週「いのちを守る仕事です」第8回より)
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作中的には、
牡蠣=お祖母ちゃんの「転生」体
ですので。
音楽の道を諦めた耕治(木は切られた)は、されど栄養を川を経由して海へといたらせ家族(百音や未知)を育み、最終的にはお祖母ちゃんの「転生」まで良いものにしてくれた(まあ、幸福に暮らした上での死だったとか、そんな感じ)。
万物万象が関係し合っている、という世界観の物語です。
この作劇だと、「切られた木」の耕治の栄養で開花した的な位置づけの未知は、何かするんだろうな。
物語後半に何か気象災害が起こるのが描かれると予想しておりますが(今回の山でのピンチは、そういった後半への暗示にして仕込みと思われます)、未知は頭もイイので、その時何か重要な役割を果たしそう。
耕治が音楽を諦めたことが回り回って誰かを助けることになる……みたいなのは熱い作劇だと思うのでした。
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めちゃめちゃ面白かった。2014年の登米と気仙沼! ちゃんとあらゆることが宮城県っぽい! #おかえりモネ
— 寂しいシロクマ(相羽裕司)/仙台市太白区 (@sabishirokuma) May 16, 2021
→前回:『おかえりモネ』第1週「天気予報って未来がわかる?」(第7回)(5月25日(火)放映分)の感想へ
→次回:『おかえりモネ』第2週「いのちを守る仕事です」(第9回)(5月27日(木)放映分)の感想へ
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