相羽です。

 漫画『転生王女と天才令嬢の魔法革命』第2巻の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 前回第1巻の感想で、令嬢のユフィリアは物語論的には「塔の中の姫君」のキャラクター類型にあてはまるヒロインだ……といったことを書かせて頂いたのですが。




(参考:新城カズマ『物語工学論 キャラクターのつくり方』(角川ソフィア文庫))


 ユフィリアは王女・アニスフィアのメイドのイリアに(「塔の中」への囚われっぷりが)「重症」とまで評されてしまいます。

 これまで、あまりにも「役割」にこたえるためだけに生きてきたユフィリアは、思わずアニスフィアによってもたらされた「自由」に戸惑ってしまっているのです。

 他に生きる指針をすぐに見出したりもできずに、王女(本来命令する権限はある)でもあるアニスフィアに「もっと役割を…」「だから…ッ」「だから命じてくださいッ」とまで言いかけてしまうので、確かに重症です(笑)

 そんなユフィリアに対して、アニスフィアは「本当にやりたいことが見つかる日まで」(ユフィリアを)「自由にする」、と言います。


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(『転生王女と天才令嬢の魔法革命』2巻 漫画・南高春告、原作・鴉ぴえろ、キャラクターデザイン・きさらぎゆり/KADOKAWA より引用)

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 これは、(哲学者の)カントの「自由の互酬性」みたいな感じでイイですね。

 人間の尊厳に関わってくることなので、大事なことです。

 このシーンのアニスフィアがなんかSっぽいのもとてもイイですね(え)

 ユフィリアはこれまでの「居場所」(アルガルドの婚約者としての「役割」)が一度壊れてしまったので、新しく自分自身の「居場所」を自分で見つけて、つくっていかなくてはならないという状況です。

 近年のライトノベルやWEB小説で流行している、一度これまでいた「居場所」から理不尽に追放された後、自分なりの新しい「居場所」で才能が開花して自由に充実して生きていく……という物語フォーマットに関しては、価値観の多様化と連動して「居場所」の各々化が進んだリアル世相も反映しているのかなと個人的に考察してみたりもしております。

 本作の場合、イリアいわく(アニスフィアは)(ユフィリアが「居場所」が見つからなくて)「手遅れになっても自分が面倒を見るとまで言い出しますよ」と、見つからないなら見つからないで私が傍にいると、アフターフォローまで射程に入ってる感じがイイですね。気を回しまくりです。百合です。

 ここまで言ってくれた、今はユフィリアから見て眩しいアニスフィアに報いるために、ユフィリアが一歩踏み出す。ユフィリアとアニスフィアが「対称」の関係になっていくまでを志向するのが、まずは物語の動力になっています。

 今巻後半からはじまる、対スタンピード・対ドラゴン戦におもむくアニスフィアにユフィリアが同行する流れは、上記のユフィリアの精神面の物語とリンクするかたちになっています。

 それゆえに、バトルエピソードでついにアニスフィアとユフィリアが共同戦線で戦う展開はカタルシスが大きいです。一度「居場所」を失い、自由にとまどい、とりあえず今は眩しいアニスフィアと「対称」でありたいと願うユフィリアの気持ちが、うまくバトル展開の高揚とシンクロしています。

 しかし、魔石の力を取り入れた薬(魔薬)でラリって(え)モンスターを斬りまくるアニスフィアもSっ気どころじゃないめちゃ強(つよ)女子ですが、アニスフィアが引きつけたモンスターの群れを大規模爆裂魔法(たぶん)で殲滅するユフィリアもたいがいロック女子です。

 やった! めちゃ強女子同士の百合大好き!

 しかし、失礼ながら漫画担当の南高春告(なだかはるつぐ)先生(Twitter)のことは何者なのか存じてなかったのですが、バトルシーンのネームと作画がとてもうまい作家さんですね。

 第2巻のアニスフィアがモンスター10体斬りするところとか、「コミックウォーカー」最新話(第14話 砲梁丱疋薀乾鸚錣如⊂絏宍佞気泙砲覆蠅覆らユフィリアが風の魔法を打ち込むところとか、めちゃめちゃカッコいいバトル描写になっております。

 あまりに面白いので、鴉ぴえろ先生(Twitter)の原作小説もWeb版から読み始めてみております。


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