相羽です。

 2021年も、そろそろ終わりです。

 今年は、例年と比べても様々な作品にふれることができました。

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 というわけで年末恒例の、その年にふれた創作作品のベスト記事です。

 アニメだけから選んでる年とか、色んな部門を選んでる年とか、全部シャッフルから選んでる年とか、年によってはやってなかったりとか、わりとアバウトなんですが(え)、今年は全部(小説、漫画、アニメ、ゲーム)シャッフルの中からベスト10を選ぶかたちでやってみます。
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 第10位:漫画『ONE PIECE』

 今年は「ワノ国編」が続いていたのですが、要所要所で物語全体の重要情報が開示されたりして、これ、来年はいよいよ「ワノ国編」が終わって『ONE PIECE』全体の最終章的なものがはじまるんじゃないかと期待に胸が膨らんだ一年でありました。週一でジャンプは買って真っ先に読んでたよ。

 二十年ほど追ってきたなりの感動というものがあると思うので、クライマックスに入っていくであろう、来年からの展開にはワクワクしております。

 二十年前はかろうじてあった、「競争を勝ち抜いて頂点に立つ=海賊『王』を目指す」という上昇志向への共感……みたいなのは東日本大震災やコロナ禍で滅びてきた最近だと思います。

 「王」って、それになったからって、なんか幸せなの? みたいな感覚は若い人を中心にあると思うので。

 提示されている最後の島の名前が「ラフテル=Laugh Tale(笑い話)」、キーとなる存在が「ジョイ・ボーイ」という名称であるあたりから、うまい感じに時代とも符号して、競争や上昇の果ての「王」といった観念は手放して(どちらも、競争原理的なギラギラ感とは距離をとってる感じがする柔らかい感じの言葉選びなので)終わるのかな? といった漠然とした予想や期待は持っていたりします。






 第9位:漫画『アオのハコ』

 「週刊少年ジャンプ」で今年はじまった新連載の中では、一番のお気に入りです。

 何回も巻頭カラーになっているので、世間的な人気もある模様です。

 千夏先輩と雛ちゃんのダブルヒロインなので、古(いにしえ)の頃、『いちご100%』で東城か西野か? で盛り上がっていた頃のノリで未だにラブコメを楽しめる自分にまた出会えました。

 少し気が早いですが、雛ちゃんエンドなんじゃないの? と思ったりも。

 千夏先輩エンドだと、身も蓋もないほどストレートすぎる結末になっちゃう気がするんですよね……。








 第8位:漫画『すくりぞ!』の続き

 僕が敬愛するらぐほのえりか先生の初期作、『すくりぞ!』。

 1万字くらいのレビュー記事も書いちゃったくらい、思い入れがあります。↓


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参考:『すくりぞ!』の読むとホっとする学校リゾート化コメディの魅力とは?6人の登場キャラと心に余裕ができるゆるやかな話をご紹介/マンガフル


 そんな『すくりぞ!』の続きが、今年おもむろにらぐほのえりか先生のpixivFANBOXではじまりました。


 ファンが四年くらい待っていたものを、おもむろに投下していくいつものストロング・らぐほのえりか・スタイルです。

 そして、これがめちゃめちゃ面白いです。

 最終巻のラストに出てきた新入生の女の子も、「かやぶきはたご」と名前を与えられて新キャラクターとして登場してきており、先輩となった寝子たちと絡みます。

 ある意味、先輩・後輩百合が原点というらぐほのえりか先生のたましいエネルギーが凝縮されている(え)、時々の『すくりぞ!』おもむろ更新なのでは。

 かやぶきはたごちゃんはヤンキー(っぽい)キャラなのですが、スクールリゾード部におもむろに一人だけノリが『湘南純愛組!』みたいな女の子が投入されて、たいへん愉快なことになっています。

 『けいおん!(!!)』の完全続編が始まったら(『けいおん!Shuffle』は変化球続編の扱いで)、旧来のファンはこんな心情を抱くのだろうか? といった擬似的な気持ちで、時々のおもむろ更新を楽しみに過ごせた一年でありました。








 第7位:映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』

 エヴァの最終章ということで、シンジくんとゲンドウの関係にも決着がつきました。

 映画公開当時、六法さん(Twitter)と秘密感想チャットを開いていたのですが。

 この最終的に父と子の関係に帰着するというあたりについて。


相羽:「『範馬刃牙』っぽかったですね」

六法:「さすがに味噌汁で決着とはならなかったですけどね」


 という会話がなされたのが今年のハイライトの一つでした。

 もうちょっと詳しい感想記事も劇場で観た当時書きましたので、よろしくです。↓

参考:『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の感想(ネタバレ注意)〜長い飲み会が終わった感じ







 第6位:漫画『転生王女と天才令嬢の魔法革命』

 今年出会った、百合作品ではあるのですが。

 原作者の鴉ぴえろ先生が、アニスフィアが転生前は男だったのか女だったのかは意図して明示していないのも好きなところです。

 アニスフィアとユフィリアは、カタチとして女と女に生まれ。

 カタチとして王女と令嬢だった。

 ……というような無常観がイイです。

 じゃあ、「カタチ」ではない「イデア」のようなものがあるとしたら、それはどこにあるのかとか考え始めると、ちょっとスピリチュアルな感じになってくるのですが(笑)、そういう射程も含めて面白い作品です。

 めちゃめちゃ面白いので、これはアニメ化までいくのではないかという気がしております。

 詳しい感想は読んだ当時書いてましたので、そちらもよろしくです。↓

参考:漫画『転生王女と天才令嬢の魔法革命』第1巻の感想〜異世界転生×百合×魔道具開発のピュアファンタジー(ネタバレ注意)

参考:漫画『転生王女と天才令嬢の魔法革命』第2巻の感想〜自由の憂鬱から令嬢は一歩踏み出し王女と共に街を守るために戦う






 第5位:映画『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(公式サイト

 TVシリーズ最終回の頃、劇中の「塔」には象徴として「競争原理」や「進歩史観」の意味合いがあり、それを愛城華恋がああしちゃうのが熱いんだといった考察を書いたりしていました。↓


参考:少女☆歌劇 レヴュースタァライト最終回の感想〜愛城華恋と再生産(ネタバレ注意)


 で、今回の続編完結編、「搭(競争原理・進歩史観)」はああなってしまうので、最高にロックです。

 僕が書いた考察とか、一つの限られた頂点を目指して争い合うという現実社会を念頭においた『仮面ライダー龍騎』的な設定世界観がはびこる世界とか、全部、粉々にしました。

 「運命」も「執着」も手放された。

 同じ共同体を本気で生きるには同じ靴を履かなくてはならないですが、靴はもうぬぎました。

 裸足でいいんで、新しい世界へ。「サイクル」の次へ。

 旧エヴァ以上に視聴者は置いていったエンドともとらえられる感じで、キリンは燃えて、舞台少女はキラめいた、それでイイといった感じのとても爽やかな映画でありました。

 きっちり自分というキリンは埋葬して(燃えたので)、次へ進んでいきたいものなのでした。






 第4位:アニメ『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(公式サイト

 『プリキュア』シリーズも、僕は初代から18年くらい観ているのですっかり古参的な位置になってしまいました(苦笑)

 ファン(主に大人の)の雰囲気も変わってきておりまして。

 僕が本気出して観ていた10年前くらいまでは、作品に対する本格考察みたいなものも需要があってけっこう読んで頂いていたのですが。

 現在は、そういったものよりも、「●●(キャラクター名)ちゃん可愛い!」みたいな簡易なテキストと、著作権法上の引用要件を満たさないアニメ本編のスクショをSNSにドカ載せ、みたいなものがインスタントな共感ベースでバズったりしているのが主、といった印象です。

 ただ作品本体のコアのようなものはそこまで変わっておらず(対象視聴者の3歳〜6歳の女児の嗜好というのが、生まれてからそんなにも時間が経っていないためにそこまで現実社会の影響を受けて変わりづらく、結果、普遍的なものを追い求めていくしかないのかなという仮説を今のところ持っています)、今年も本気の考察を展開しても追いつけないくらいの、土台から装飾まで作りこんだ本格構築物といった作品でした。

 古典の『人魚姫』をベースに、今の時代の「マーメイドもの」としていかに見事に制作されていた作品だったのか、といった辺りは別途記事を書いていたので、参考までにどうぞです。ローラ(人魚)がプリキュアに変身する第17話は、歴代全部でも屈指の名エピソードだと思います。↓


参考:『トロピカル〜ジュ!プリキュア』第17話の感想〜ありのままの自分でいられる「居場所」をくれた愛する人を守るという2021年の『人魚姫』(ネタバレ注意)(別ブログ)


 長年のプリキュア友人かつ、謎の人魚求道者(え)のRubyGillisさん(Twitter)とも色々考察できて楽しかったです。

 Rubyさんは子育てしながら、今年は間もなく全話感想を達成という偉業を成しそうな勢いです。人魚が彼を狂わせました。見習っていきたいです。

参考:トロピカル〜ジュ!プリキュア /穴にハマったアリスたち






 第3位:ゲーム『Fate/GrandOrder』第2部「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」

 今年の夏頃『FGO』に実装された、大型かつ最新のメインストーリー。

 文庫本4冊分のストーリーを、みんなよく読みましたね(笑)

 奈須きのこ氏が執筆を担当した最新の物語ですが、下手したら『空の境界』全部と同じくらいボリュームあったでしょ。

 壮大で深淵なブリテン異聞帯の世界描写も、大型構造のストーリーも、取り囲んでいた全ては、ある一点におけるエモエモ爆発を映えさせるためだった! という物語の構築法は卑怯でした(笑)


 全ては、巨大感情が起点だったネタは、破壊力が高かったです。


 あとは、●●●●●で●●●●●●●さんが主人公たちを待っていたところが、テンション爆上がりでした。

 これくらいの長編物語で、最新ストーリーと序章が繋がるのは、やはり熱いものがあります。

 『FGO』も、予想される範囲内では、残り第2部第6.5章、第7章、終章(たぶん)のみ。

 本当に、来年〜再来年くらいで終劇しそうです。

 もう六年くらいつきあっているゲームなので、どのような結末を向かえるのか、たいへん楽しみにしているのでした。

 僕はTwitterの相互フォロワーさんで『FGO』をやっている人とはだいたいゲームでもフレンドになっているのですが、先日の年末レイド戦もたいへん盛り上がって楽しかったです。

 長年ともにプレイしてきたことに、マジで友情を感じているので、『FGO』のラストを(何らかの全員参加型イベントで終えるのを計画しているものと思われる)一緒にプレイできる日を本当に楽しみにしているのでした。

参考:FGO感想・プレイ日記






 第2位:漫画『ちかのこ』第42話「チカのわらしべチャレンジ!」

 『ドラえもん』の珠玉の一篇を読んだ感覚の一話です。らぐほのえりか先生は、「すこしふしぎ」の名手という側面があります。

 大まかには、ミクロ(日常系)からはじまって、マクロ(SF)を経由して、またミクロ(日常系)に戻ってくるお話なのですが。

 『ちかのこ』はただの「日常系」ではないのですよね。世界の全てが入ってる(笑)

 最後の三ページとか、今年何回も読んじゃいましたよ。

 『ちかのこ』は、第5巻のコラムを書かせて頂いたのも今年でした。↓



 来年以降、雑誌『E☆2(えつ)』での連載は、しばらく休止されるとのこと。


 次のステップに向かうにあたって前向きにリソースを確保するためとのことで、どういう活動をされるにしろ、広義で新しい作品に取り組まれるかたちなのかなと思います。

 らぐほのえりか先生は、そろそろ令和の葛飾北斎クラスのすごい作品を出しそう。

 今年は、『温泉むすめ』の方のお仕事で、我らが宮城県は松島の瑞巌寺のパネルのイラストとかも手がけられておりましたからね。


(ちょっと、地元の感覚だと神聖な趣がある国宝のお寺です。)

 もはや光は集まり始めているような印象を受けるので、解き放たれる時が訪れるのを楽しみに待ちたいと思っているのでした。

ちかのこ6 特装版 (E★2コミックス)
らぐほのえりか
廣済堂出版
2021-04-30


→「チカのわらしべチャレンジ!」はまだ単行本未掲載で、掲載されている雑誌『E☆2(えつ)』はこちらです↓






 第1位:漫画『UQ HOLDER!』

 連載開始当時は全話感想とかも書いていた、赤松健先生の『UQ HOLDER!』が、いよいよあと2話で終わります(来年2月発売の「別冊少年マガジン」に最終回が掲載予定。)。

 途中から公式に『魔法先生ネギま!2』であると明言された本作。『ネギま!』から数えると20年くらいの付き合いとなるので、感慨深いです。

 もはや、自分の人生体験と結びついていたりします。『ネギま!』や『UQ HOLDER!』があの頃の展開の時に、自分の人生はこうだった、みたいな感じです。

 一番記憶に残っているのは、東日本大震災からまもなくの週刊少年マガジン掲載分の「ネギま!」第337話「力になりたい」で、ラストに「いいところなんでしょ?日本」と風景画のコマを描いてくれたことでしょうか。

 「いいところなんでしょ?麻帆良」でいいはずの所を、あえて「日本」という言葉を赤松健先生は使っていた。

 僕は、そのシーンを地面はひび割れ、倒壊した建物が散見される街の中で読みました。

 大震災と原発事故で「日本は終わった」といった言説も国内外で流れていた頃でした。

 そんな、ゼロ年代、テン年代を駆け抜けた『ネギま!』〜『UQ HOLDER!』。

 ラスト4話時点で、ああ、セカイ系の、あの!? ゼロ年代に「はてなダイアリー(この言葉自体がもう懐かしいw)」とかで議論されたりとかしていた、あの!? という「キミかセカイか、どちらを選ぶのか?」の選択が出てきます。

 この点に関しては、ざっくりとは、『涼宮ハルヒの憂鬱』時点では、ハルヒはキミとセカイが結びついているような点にむしろ救われる(「白雪姫のキス」によるハルヒの救済。)。


参考:『ハルヒ』放映開始から十年、京都アニメーションがここまで進めた「日常」と「非日常」にまつわる物語〜『無彩限のファントム・ワールド』最終回の感想(ネタバレ注意)


 続いて、『仮面ライダーカブト』では、主人公の天道総司は、ヒロインのひよりに対して「俺はお前とお前の生きる世界を守る」という選択をくだす(キミとセカイの同時成立)……という流れがあります。


参考:平成仮面ライダーシリーズ紹介1:仮面ライダーカブト


 そして、『UQ HOLDER!』ではさらにその「先」が描かれます。めちゃめちゃカッコいいです。第189話のラストは泣きました。

 天道総司も平成のヒーローであったけど、けっきょく、刀太も令和のヒーローになったんだなと。というか、令和はヒーローズなんだな、と。強さや無敵感に裏打ちされるのではないヒーロー像がカッコいい。

 今度は、参議院選挙に立候補するという赤松健先生。


 動画の内容、「今後も読み切りなどを描くことがあるかもしれない」というのは、裏を返せば『UQ HOLDER!』が長期連載作品としては最後くらいに思っておられるのかもしれません。

 そんな大事な作品の最終局面にこの題材を絡めているあたり、いわゆる「セカイ系」のテーゼはゼロ年代〜テン年代の漫画、アニメ、ゲームなどのサブカルチャー世界において重要な意味があったと捉えているのかもしれません。

 残り2話、長い物語の結末を、見届けたいと思っております。



→激アツの第189話が掲載されている「別冊少年マガジン」はこちらです。↓



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 以上、今年2021年の「ランゲージダイアリー的ベスト」でした。

 自分の執筆とかが中心になりつつも、来年もタイミングが合った時に創作物に触れて、感想とか書いていけたらな〜と思っているのでした〜。

●参考リンク:以前の当ブログのベスト記事など↓

・2018年
2018年ランゲージダイアリー的ベスト

・2016年
2016年「アニメ作品」ベスト10〜過去の悲しい出来事を受け取り直し始める震災から五年後の想像力(ネタバレ注意)

・2015年
2015年「アニメ作品」ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)

・2014年
2014年ランゲージダイアリー的ベスト、「アニメ部門」へ
2014年ランゲージダイアリー的ベスト、「漫画部門」へ

・2013年
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「漫画部門」へ
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「アニメ部門」へ
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「小説部門」へ

・2012年
ランゲージダイアリー的「2012年にふれた作品ベスト10」

・2011年
ランゲージダイアリー的2011年ベスト/アニメ編
ランゲージダイアリー的2011年ベスト/小説編

・2010年
ランゲージダイアリー的、2010年見たアニメベスト

・2008年
ランゲージダイアリー的、2008年ベスト

・2007年
ランゲージダイアリー的2007年ベスト

・2006年
音楽部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト
映像部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト
漫画部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト
活字部門/ランゲージダイアリー的2006年ベスト

・2005年
ビジネス書部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
音楽部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
漫画部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
映像部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト
小説部門/ランゲージダイアリー的2005年ベスト

・2004年
2004年度音楽部門ベスト。
2004年度映像部門ベスト。
2004年度漫画部門ベスト。
2004年度活字部門ベスト。
2004年度ベスト・オブ・ベスト。