ブログネタ
鎌倉殿の13人 に参加中!
 相羽です。

 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人(公式サイト)』、

 第2回「佐殿の腹」

 の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 前回の感想で、政子だけが源氏の嫡男だからといった「条件」ではなく、「条件」を無効化した境地で「個」としての頼朝をみている、と書きました。

 今回のラブコメパートをみても、政子の方は頼朝を「個」としてみてるのは、その通りっぽいと思いました。

 一方で、ラストの頼朝と義時のお風呂告白のシーンの頼朝の言葉をそのままとるなら、頼朝の方は政子という「個」ではなく、北条家という「家(共同体)」をみて政子に近づいたっぽいです。


・政子→(「個」をみている)→頼朝

・頼朝→(家という「共同体」をみている)→政子(政子は「家」の部品?)


 この「非対称性(アンバランスさ)」がある関係は(物語的にも)気になります。

 もう一つ、「個」志向と「共同体」志向の対比を描いていると思われるのは、政子と八重という二人の女性です。

 頼朝のパートナーという点を共通項として持ちながら、政子が「家」のいうことあんまり聞かなかったりと「個」志向なのに対して、八重は(たとえ形式的にだとしても)お父様(伊東祐親)の言うとおりにしますと「共同体」志向である、と、パラメーターが二人は違うのがみてとれます。


・政子―「個」志向

・八重―「共同体」志向


 ただ、これは政子が鎌倉時代なのに「個」に目覚めていた自立した女性だワッショイ! という作劇ではなく、「個」志向と「共同体」志向は同格正義として成立させながら、そのパワーゲーム(orシーソーゲーム)を描いていく物語という印象を受けています。(物語後半では、両方がバランスしたり、「両義」になったりする?)

 「共同体」志向が行き過ぎたネガティブな側面は、前回の感想で書いた通り千鶴丸が殺害されるというかたちで既に描かれておりますが、かといって、「個」志向こそが作中ポジティブだ! というわけではない。

 近代以降の、主に西洋文明拡大期にふくれあがった「個」の礼賛が、そんなにも人間を幸福にもしてないかもしれないゼ、ロック・ザ・令和、2022年! というのは、(真面目に論じている言論や研究もたくさんある点も含めて)視聴者の多くが知るところです。

 僕は現在日本史・世界史を再勉強中なのですが、今のところの見解として、どうも平安時代後期とか鎌倉時代という頃は、現代の「近代的自我」的な方向での「個」はなかったか、今よりだいぶミニマムだったっぽいんじゃないか的な考察をもっているので。

 この頃は、まず社会(「共同体」)があって、その中の位置として「個」は解釈できるくらいの感じなんじゃないかと思ってたりもしますので。

 令和四年の時期にやる大河ドラマとして、マイルドに「共同体」を見直す、もう一度光をあててみる的な方向で作劇しているのだとしたら、興味深いなと思って視聴しているのでした。

 しかし、ラストの頼朝と義時のお風呂シーンは、それこそ前回の感想から書いてる近年の「共同体」論的傑作作品・京都アニメーションの『小林さんちのメイドラゴン』で描かれている、「intra-group communication(集団内コミュニケーション)」的に面白い。


参考:小林さんちのメイドラゴン/感想/第1話「史上最強のメイド、トール!(まあドラゴンですから)」(ネタバレ注意)


 お風呂という閉ざされた場所での二者間コミュニケーションで、あからさまに「intra-group communication(集団内コミュニケーション)」です。

 「記号」、象徴表現的にも、全裸なので頼朝はここでは本音を言っている……と解釈したくなるところなのですが。

 ただ、厳密な全裸ではなく、まだなんか着て入っているので、ここではまだ頼朝は本音の本音は明かしていない説もいけそうです。(北条家という「家」の後ろ立てを得るにあたって、義時を篭絡する必要があるので、計算で喋っている?)

 今後、全裸フル●ンで頼朝の本音の本音がご開陳というシーンがくるのかもしれない。

 全大泉洋さんファン女子待望のシーンです。僕も楽しみです(え)

 全裸頼朝がきたら、物語もクライマックス。この視点で是非ともこの作品を追ってみてほしいものなのでした。

→日本文化の「共同体」論、「コミュニケーション」論としておすすめ、「intra-group communication(集団内コミュニケーション)」と「inter-group communication(集団間コミュニケーション)」の話もこの本に書いてあります





→調停する者として描かれる「小林さん」は今話の大庭景親(おおばかげちか)的?

小林さんちのメイドラゴンBlu-ray BOX(特典なし)
高橋未奈美
ポニーキャニオン
2021-04-21


→前回:『鎌倉殿の13人』第一回の感想〜鎌倉時代を通して現代につながるコミュニティ(共同体)論をやりたいのかへ
→次回:『鎌倉殿の13人』第三回の感想〜以仁王と頼朝の対照から挙兵トゥルーエンドは仲間パワーという00年代ADVノリで進む令和大河は「家」を媒介に現代にパスを送っているか(ネタバレ注意)へ
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』感想の目次へ

・Twitterもやっておりますので、フォローしてやって頂けたら喜びます〜。↓


・「まぐまぐ」さんでメルマガもやっておりますので、登録してやって頂けら喜びます〜。↓

創作者のためのマーケティングエッセンス/まぐまぐ