NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人(公式サイト)』、
第3回「挙兵は慎重に」
の感想です。
ネタバレ注意です。
サブタイトルにもある「挙兵」に関して、
・前半で描かれる以仁王の「挙兵」(以仁王の乱)をバッドエンドルート
・後半で描かれる頼朝の「挙兵」をトゥルーエンドルート(になる予定)
として対照構造で描き、両者の差異で伝えたいことを視聴者に伝えていくという……
……ここ二十年あまりでいうと、ゼロ年代のADV作品(ループとかあって、バッドエンドルートとトゥルーエンドルートの違いが意識しやすい)、そこから派生して(僕はわりと、本当に関連があると思ってたりします)最近ではアニメだとプリキュアシリーズといった広い層向けの作品でまで取り入れられている、物語によく触れる人には定番になってきている作劇法です。
そして、バッドエンドルートの以仁王の「挙兵」失敗の方は「共同体」崩壊エンド(仲間が集まってこない)で。
トゥルーエンドルートの頼朝の「挙兵」の方は「共同体」集合ルート(仲間が集まってくる)なので。
初回の感想、前回の感想で書いてみた、何かしら「共同体」論をやろうと思っている大河ドラマなのではなかろーか説も、まだ生きています。
頼朝「挙兵」トゥルーエンドルートの方で、義時が、●●家も参加してくれるでしょう。さらに●●家も参加してくれるでしょう! と筋道を立てていくところは、まさに「共同体」が集まって、大「共同体」化していく……という展開なので、テンションが上がったところだったりです。
今のところ、「共同体」の単位は、ほぼほぼ「家」を描いていますね。ここまでは北条「家」(という「共同体」)がドラマの中心。
平安後期〜鎌倉時代の「家」概念と、現代の「家」概念は違いますが、それでも同じ言葉として「家」をあつかってみて、何かを語ってみようということを送り手側は考えているんじゃないですかね。
トゥルーエンド「共同体」であるはずの、頼朝「共同体」の方が、
・偽物の髑髏
・はやとちりの文
など、ニセモノ性(虚構性)が印象的に付与されており、そのようなニセモノ的なシンボルをたよりに、幽霊後白河法皇(これもニセモノ属性だ……)にはっちゃけ文覚とか、荒ぶる坂東武者とか、(頼朝本人も含めて)わりとろくでもない人たちが集まってきているのが、これは、ドラマとして面白いのではと思ったところです。
上述の、平安後期〜鎌倉時代の「共同体」を通して、現代の令和の「共同体」にも何かを見出そうと試みている説を推すなら、令和という時代を、荒ぶる「武者の世(ムサノ世)」と捉えて、視聴者の共感の導線を荒ぶりエネルギーが渦巻く頼朝「共同体」の方に引っ張ってきている可能性もありますね。
「ニセモノだけどホンモノだ!」物語文法は、それこそ『仮面ライダーディケイド』とかに収斂していくゼロ年代(2000年代)の物語文法なので。
参考:仮面ライダー×仮面ライダー W(ダブル)&ディケイド MOVIE大戦2010/感想
ここで、この2020年代にその感覚を(いちおうの)
→ほしい本
→名作
→前回:『鎌倉殿の13人』第二回の感想〜「個」の政子と「共同体」の八重という対照の中で頼朝が全裸で本音をさらすのはまだ先の可能性がありそう(ネタバレ注意)へ
→次回:『鎌倉殿の13人』第四回「矢のゆくえ」の感想へ
→NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』感想の目次へ
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— 寂しいシロクマ(相羽裕司)/仙台市太白区 (@sabishirokuma) January 10, 2022
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