相羽です。

 前回のメルマガ(PDF)で、僕は古いものが好きだという話を書いたのですが。

 古いもの、というか古い人(昔の人)ですが。

 最近また、ジャンヌ・ダルクの研究を再開しています。

 『FGO』とかにも登場している、みんな大好き(笑)ジャンヌ・ダルクです。


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(画像は『Fate/Grand Order』より引用)


 もともと僕はフランスに興味があり、学生時代の第二外国語はフランス語だったりもして、人並みにジャンヌ・ダルクは好きでした。
 そういう経緯もあって『非幸福者同盟』という小説を書いた時に作中に擬人化されたエッフェル塔を登場させ、その時に(テーマとして)ジャンヌ・ダルクについても描いたので、僕の中では一区切りした感じでした。

 なのですが、時が経過するにつれて色々と熟成されていくのが人生の妙味です。最近、僕の中でジャンヌに関する新たな知見を得たのでした。

 ジャンヌ・ダルクについて考える時、どうしても神という概念、特にキリスト教に関する理解が必要になってきます。

 何しろジャンヌは「大天使ミカエル、アレクサンドリアのカタリナ、アンティオキアのマルガリタの姿を幻視した(?)」、いわゆる「神の声を聴いた」とされる信仰の人ですし、歴史家のジュール・ミシュレはジャンヌをかなりの程度キリストになぞらえたような文章を書いたりもしています。

 その、ジャンヌ・ダルクを考えるにあたって前提となるキリスト教に関して、最近得た知見としまして……。

 ある程度勉強している方には今更という話かとは思うのですが、キリスト教って、トマス・アクィナスの『神学大全』の以前と以後で、だいぶ変わっているのですね。

 『神学大全』の初版刊行が1485年、(ジャンヌ・ダルクの戦いとして有名な)「オルレアンの戦い」が1428年です。

 僕はこれまで何となくジャンヌ・ダルクとキリスト教(の信仰)という視点で捉えていたのですが、果たしてジャンヌの信仰は『神学大全』以前のものなのか、以後のものなのか。

(違いとしては、『神学大全』以降はたいへんにざっくりとは十字軍の頃にイスラム世界から入ってきた文献から、アリストテレス的なものがキリスト教に入ってくると言われていたりします。)

 また、西洋世界で歴史的なジャンヌ観が形作られていったのはジャンヌの死後ですから、『神学大全』以降のキリスト教の中で、どのようにジャンヌ・ダルクが「解釈」されていったのか。そういった解像度がより高い視点では、ジャンヌ・ダルクとその信仰について、考えてみたことがまだなかったのです。

 何しろ歴史上の(特に西洋史での)ヒロインですから、アイドルを追いかけるファンのような目線で追いかけてみたいミーハーな気持ちもありますが、背後にはキリスト教および宗教学と歴史学の射程が広がっていますから、これは知的な興味と共に、へたをしたら一生をかけて深く、深く考えていける題材です。

 僕の人生の四十代編もはじまっておりますが、まずは二十代前半編の頃に(主に親の介護がはじまったために)学び残してしまった事項を、二十年後の現在なりにもう一度学んでいくということをはじめてみております。

 フランス語も、改めてやろうかなと思っています。

 もうちょっと深いところで、ジャンヌ・ダルクの話やキリスト教的なるものを僕が研究していくことで、現在の世の中によいものを提供していけるであろう展望もあるのですが。

 発展的な話は最初は置いておいて、まずはこれまでも書いてきたコラム的なノリでの素朴な歴史の話や宗教学の話は読み物としても面白いと思いますので(近年の漫画やアニメ、ゲームなどとも絡めやすい題材でもあります)、これから時々書いていくであろう、ジャンヌ・ダルクの話、フランスの話、人間の精神の話、などなど、気軽な気持ちで読んで頂けたら、たいへんに喜ぶのでした。

・こういった近況のコラム的な話は、最近はメルマガで内輪向けに書くことが多くなっているので、興味がある方は以前からやっている「まぐまぐ」さんのメルマガの方を登録しておいて頂けたらと思います。↓

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 現在、ジャンヌ・ダルク関連の資料を集めています。Amazonさんの「ほしい物リスト」経由で、支援して頂けましたら、たいへんに嬉しいです(研究資金は常態的に不足気味です(苦笑))。どうも中古本が送れない仕様になったみたいなので、新品がある商品のみに作り直してみました。↓

シロクマさんの2022年頃の欲しいもの