相羽です。

 アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女(公式サイト』前日譚「PROLOGUE」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 エリィ(ERI)ことエリクト・サマヤなる、本編の主人公のスレッタ・マーキュリーの幼少期と推定される(赤い髪などから)少女の、4歳の誕生日の時に起こった出来事が描かれる前日譚。

 現時点での基本的な対立構造は、


A. ガンドなる身体拡張技術(と仮に呼んでおきますが)をMS(モビルスーツ)大の大きさ(軍事運用も可能)まで応用し(これが、「ガンドアーム」=本作での「ガンダム」の呼称となる模様?)、その先の技術革新で人間の宇宙適応をはかっていこうと考えている、エリクトの両親(エルノラ、ナディム)やカルド・ナポ博士、オックス・アース社……などの陣営

 VS

B. いや、ガンド技術を軍事技術に応用するのは秩序・倫理の観点からよくない、規制しようというデリング・レンブランが統括代表に就任した秩序と倫理をかかげる監査組織「カテドラル」(ただ、現時点では軍事に応用する点に絞ってよくないという立場なのか、ガンド技術そのものに否定的なのかはまだボヤけている)……などの陣営


 といった感じの模様。

 主人公のエリクトはこの「PROLOGUE」時点では前者の「A」側から出発しているということになりそうですが、「B」側に「ガンドアーム」を開発していた「A」側のコロニー(?)が襲撃されエリクトの父のナディムはこの「PROLOGUE」時点で命を落とします(というか、わりとみんな殺されてしまう。)。秩序・倫理をかかげる側が技術を否定して人間を殺すという、一筋縄ではない「ガンダム」(という物語の) 仕様。

 これまでの「ガンダム」シリーズにも思いを馳せるなら、「A」側が宇宙を切り開いていくニュータイプ側、「B」側が新しいものは認めないというオールドタイプ側を連想します。そのあたりも「ガンダム」チック。

 ただ、「A」側の「ガンド」は、普通の人間の身体を何とか改造している感も漂っていて、より正確には、「ニュータイプ」寄りというよりは、従来の題材的には「強化人間」寄りな感じかも。

 「強化人間」的だとしても何とか宇宙に適応してそちらの未来に向かっていこうとしていた「A」側に、母のエルノラでは受け取ることができなかった「レイヤー33」のコールバックをエリクトは認証バイタルであっさりと受け取るという点が「ニュータイプ」的で、「強化人間」志向の中に「ニュータイプ」が生まれてしまった! 的な、「A」側も一枚岩ではなく、何重にもなっていくのかも。いずれにせよ、主人公が何らかの意味での「ニュータイプ的なるもの」感を纏っているというのは、(作品としての)「ガンダム」という感じです。

 この「PROLOGUE」のエピソードだけのことなのか、物語全体にかかっていく要素なのかはまだ分かりませんが、一種の「反転」構造がとられていたと感じました。

 「B」側、デリングが演説でざっくりとは、「兵器とは人を殺すためにだけ存在するべきだ」、軍事技術と身体拡張技術を混ぜている「ガンドアーム」は邪道、混ぜっけなく、人間が人間を戦争で殺すからこそ罪を背負うことができる……みたいなことを言っていて、これは戦争時における「人間性」の保持……みたいなことだと思うのですが……

 実際に、「ナディム、愛してる」「僕もだ。愛してる」……と、愛を伝え合うという「人間性」的ないとなみを行ったのは、「A」側のエリクトの父母です。ここに、「B」側が一見かかげてるテーゼが「A」側で実現しているという「反転」の構造が出ていると思ったのでした。

 「反転」構造を入れる作品って、それだけで視聴者は考えることが増える点があり、(「ガンダム」シリーズって基本的にそういう感じなのですが)いわゆるアークプロット、王道っていうよりは、王道にちょっと意義をとなえるような反プロット的な側面も入れていく作品だよ、と最初から提示しているような印象も受けました。

 いきなり状況が、というか世界が殺伐としている中で、カルド博士がエリクトにかけた、


 「この世界は怖くないって、(ルブリス=ガンダムに)教えてやってくれ」(カルド・ナポ博士)


 という言葉が優しく響く「PROLOGUE」でありました。

 まだ、いかなるキャラクターなのか不明でありますが、主人公のスレッタ・マーキュリー、戦争という「仕方がない」と諦められがちな現実の中で、何らかの意味で「この世界は怖くない」を表現するかたちで理想を求めてしまうような、そんな人物像に期待してしまったりする、物語の最初の視聴だったのでした(周囲の厳しい現実の中で、綺麗事的でも優しいこととか柔らかい感じとかを纏ってる主人公とか好きなので。)。

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