相羽です。

 アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女(公式サイト』第6話「鬱陶しい歌」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 引き続き「無条件の世界」と「条件付きの世界」の対照から本作を見ていってみます。

 「条件」がどう本作のキーワードとなっているのか? という点については、第1話の感想に詳しく書いておりますので、そちらを参考にして頂けたらと思います。↓


参考:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第1話の感想〜「無条件の世界」による「条件付きの世界」への反撃の狼煙(ネタバレ注意)(追記あり)


 今話の場合は、表の方でまず目にとまるのは、ペイル社の上層部の課す「条件」に応えるために生まれ「条件」に応えられなくなったら始末された、モロに「条件付きの世界」の文脈のキャラクターだったエランと、「誕生日(いちおうストレートには「無条件」の「祝福」要素)」を持ち、地球寮のみんなのような「無条件」の仲間がいて「無条件の世界」の文脈のキャラクターであるスレッタとの対比なのですが……。

 もうちょっと奥の方、裏の方で重要な要素として描かれていたのは、ジェターク寮から追い出されるカタチで「親」ポジションの「呪い」が切れて「外」にいるグエル(キャンプみたいなのしてる)と、ペイル社上層部および真エランくん(仮)からの「呪い」が切れずに(寮の自室という)「閉じた」場所にいたエランの対比……なのですよね。

 後々の物語的には、こっちの対比の方が重要な意味を持ってきそう。

 第2話の感想の方でそのあたりは詳しく解説しているのですが……↓


参考:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2話の感想〜親世代の呪縛でかためられた「閉じた」場所から自由を目指して進むということ(ネタバレ注意)


 本作では演出として、映像・ビジュアル表現と物語・テーマ表現がかけ合わさって、「閉じた」場所にいる時は「『親』ポジションの『呪い』に囚われている」シーン、「外/開けた」場所にいる時は「『親』ポジションの『呪い』から自由になっていっている」シーン……という手法が用いられています。

 その観点からいくと、寮までやってきたスレッタとコミュニケーションをとらず「閉じた」寮の部屋にいて「親」ポジションの「呪い」が切れなかったエランくんと、スレッタの「無条件」な部分に惚れて自由な自分を貫いた結果、寮を追い出されて「外」にいるけど「親」ポジションの「呪い」はちょっと切ったグエルくん……は、モロの対比なのですよ。

 この「閉じた」or「外」…の映像・ビジュアル表現と物語・テーマ表現の掛け合わせ演出からすると、第2話の感想で触れた、エランが「閉じた」牢獄でスレッタに食事(人工食)を与えるシーンは、「エランがスレッタを『呪い』側に引き込もうとした、ないし、スレッタを自分と同じ『呪い』サイドだと思っていた」シーンだったと今になって分かる感じです。同じ「スレッタに食べ物を与える」シーンでも、これから「呪い」を解く方に向かっていくであろうミオリネが与えたトマトをスレッタが「外」で食べたシーンと対比になっていた、と。

 今話冒頭の対話シーンでベルメリアがプロスペラに言っていた「今更21年前の復讐なんて無意味です」の台詞からすると、「PROLOGUE」のエリクトとスレッタは年齢が合わないので、スレッタも何らかの意味での、今回バッドエンドで終わったエランくんと同系の意味合いを含意する「虚構存在」の可能性が高いのですよね。(プロスぺラさん、めちゃめちゃ「呪い」っぽく描かれていましたし。)

 厳密にスレッタとエランの対比を揃える意味でも、「虚構存在」のエランくんと「本物存在」のスレッタ……よりも、「共に『虚構存在』であるが、グエルくんや地球寮のみんなという『スレッタの代で追加された無条件性を含む善なる何か』の有無で、エランくんとスレッタの運命は別れる」の方が綺麗です。

 しかし、実は信じていたアイデンティティが偽物だった、私は「虚構存在」だった! ショックからの、でも、この物語で獲得した「確か」なものはある、「ニセモノだけどホンモノだ!」ムーブの物語って、僕の感覚ではゼロ年代(2000年代)作品の趣(おもむき)って印象ですが、令和の今にやるのですかね。新しい視聴者にも、このムーブは体験してほしい、やっぱり『仮面ライダーディケイド』だよね! のノリなんですかね(笑)。


参考:当ブログの『仮面ライダーディケイド』の感想


 そんな感じで、物語後半でスレッタのアイデンティティクライシスが起こるのは濃厚になってきましたが、今のところスレッタを再アイデンティファイしてくれそうなのは、「外」でスレッタ応援ガチ勢みたいになってたグエルくんと、「外」で生身の殴り合いしてくれたチュチュ先輩が二強なんですよね。それぞれ、第3話と第4話で早めに「スレッタを『無条件』でみる」イベントが描かれてるので、ずっと感想では書いてますが、この二人は超重要キャラクターという感じです。あとは、第1話からスレッタを「無条件」でみてるニカさんね。今話のニカさんの「信じてる」ワードも強力。ニカさんはスレッタの最後の出撃に絡んでもおかしくないくらいの立ち位置になっていますよ。

 そんな感じで、映像・ビジュアル表現と物語・テーマ表現の掛け合わせ演出からみるなら、今後、「グエルくんとスレッタが対称(お互いに『無条件』な状態)で『外』でご飯を食べるシーン」が描かれたら、グエル✖️スレッタエンド濃厚では!? という感じです。

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『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第6話時点での考察のまとめ/togetter

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→前回:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第5話の感想〜地球寮の皆やグエルという、親世代とは違うスレッタ代のプラスアルファが希望になり得るかもという初動の話(ネタバレ注意)へ
→次回:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第7話の感想〜第1クール前半でエランを救えなかったバッドエンド世界を覆すべくスレッタトゥルールートに向けてミオリネが動き出す(ネタバレ注意)
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