相羽です。

 アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女(公式サイト』第8話「彼らの採択」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 引き続き「無条件の世界」と「条件付きの世界」の対照から本作を見ていってみます。

 「条件」がどう本作のキーワードとなっているのか? という点については、第1話の感想に詳しく書いておりますので、そちらを参考にして頂けたらと思います。↓


参考:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第1話の感想〜「無条件の世界」による「条件付きの世界」への反撃の狼煙(ネタバレ注意)(追記あり)


 今話、ざっくりとはシャディクVSミオリネの構図がみてとれるのですが、これが「条件付きの世界」VS「無条件の世界」の対立になっているかというと、微妙で、現時点ではどちらも「条件付きの世界」内の対立という印象です。

 それくらい、前話から投資とか会社経営とか、ぐぐーっと話の主体が「条件付きの世界」に寄りました。

 ただ、「親」の「呪い」を受けているかどうかでは、シャディクとミオリネは別れていて、シャディク、これまでの父親に協力していた描写はわりと表層のもので、いちおう父親よりもスケールが大きいことを考えてるキャラっぽいです。その意味では、シャディクは現時点ではあんまり「親」の「呪い」は受けてない側。

 一方でミオリネはめっちゃ父親のデリングの影響は受けている状態にありますし、あともう一つ、わりと母親の方にこだわっているのも、作品的に(ミオリネの心の変化の物語の道中において)肯定的に捉えられる段階なのか、そうでもないのか微妙な感じもしてきております。

 本作では、第6話の感想などで考察しているとおり、演出として、映像・ビジュアル表現と物語・テーマ表現がかけ合わさって、「閉じた」場所にいる時は「『親』ポジションの『呪い』に囚われている」シーン、「外/開けた」場所にいる時は「『親』ポジションの『呪い』から自由になっていっている」シーン……という手法が用いられているのですが。


参考:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第6話の感想〜地味に「親」ポジションの呪いが切れて「外」にいるグエルと切れずに「閉じた」場所にいたエランの対比の話(ネタバレ注意)


 シャディクとミオリネの駆け引きのシーンは、「外」から語りかけるシャディクに対して、ミオリネは(「母」の文脈が強いであろう)「閉じた」菜園の中で寝そべっているという描き方をしています。

 これ、現時点でミオリネの母親の情報が少ないので推察することしかできませんが、ミオリネの母親も何かしらガンドアーム技術関連の文脈で不幸になった人で(だからデリングはガンダムを否定しようとしているとか?)、今、ミオリネがやろうとしている株式会社ガンダムとかは、所詮「親」の文脈(「呪い」)から出られていないみたいな展開だったりもするのかもしれない。

 株式会社ガンダムの部活ノリの起業パートは、確かにこれが若い力というポジティブさも感じる反面、どうにも学生ノリのままごとだった的に、後半で大人世界にひっくり返される段階を経そうで何ともな……という感じです。象徴表現が豊富なエンディング、スレッタとミオリネが「外」に出たのかなと思ったら、二人はまだ「閉じた」水晶(?)の中だった、的な表現ですしね……。

 そういう、どっちも「条件付きの世界」の中だし、ミオリネもスレッタも「親」の「呪い」の文脈出れてないよ感が漂う中、どうにも逆襲のカード的にパートを重ねてるのが、当ブログでもついつい推してるグエルくんとチュチュ先輩です。この二人は、相変わらず「無条件の世界」側で何か開花しそうな予感を携えて描かれています。

 まずグエルくん。第6話の感想でも言及しましたが、引き続き「外」でキャンンプ中ですし。ゴミ捨て場かと思った! 的な侮辱に対しても、言い返しません。

 思うに、侮辱してくる奴らはグエルくんの「条件」しか見てない(「条件」は、ホルダーでもなくなり、寮も追い出され、落ちている)という意味で、スレッタと出会って変わる前のグエルくんと同じだから、今の変化したグエルくんは、もうそのステージじゃないんだろうな。

 シャディクからの「条件」の駆け引きにも、今話ではとりあえず応じず。

 これ、グエルくんが再起する時は「無条件の世界」の逆襲のターンの意味合いが含まれると思いますが、今話の侮辱する学生と違って、意外と「条件」ではなくグエルという人間本体に敬意を抱いてくれていた真の忠臣のフェルシーとペトラはその時来てくれるのかな。あの二人、グエルくんがスレッタに恋してもまだ着いてきてくれていて、本当に「条件」だけではグエルを見ていなかったというか、「恋愛」発覚でも推すという、リアルのAKB48ファンとかも見習ってほしいくらいの(え)本当のグエル推し勢っぽいんですよね。

 そして、チュチュ先輩の方は、こちらは「普遍的な価値」という感じでしょうか。「条件」の駆け引きでスペーシアンはアーシアンを差別してるとか、色々思うところがある人です。それでも、「医療」という「条件」に左右されない「普遍的な価値」に対して、地球の仲間にも身体が損傷していた人たちがいたと共感を寄せて、株式会社ガンダムの「医療」という目的に対して、自分のスペーシアンへの恨みつらみはいったん横において許容の態度を示します。基本的に傷ついている人を放っておけない人なんですよね。そのわりに自分で殴ったりはするけど!

 そんな感じで、引き続き、スレッタの自身の虚構性の判明というアイデンティティクライシスと、株式会社ガンダムのままごと的側面が露呈でクライシスという、予見される二つのクライシスに対して、キーになるのはグエルくんとチュチュ先輩と予想。

 グエルくんもチュチュ先輩も、今はもう野生っていうか、「条件」? 部活ノリとか、学園の中だけとか、企業闘争がどうとか、そういうステージの「外」にちょっとはみ出てる視野を持ち始めてる感じなのですよね。そういう人が、たぶん一番アイデンティティクライシスとか起こした人に優しくできる。

 全ては虚構的だった、自分、何の価値もなかった。そうか、とりあえず、「外」でいっしょにグエキャンやろうぜ。わかった、生身で素手で、殴り合いしようよ。

 そんなことが言えそうなグエルくんとチュチュ先輩を、当ブログでは応援しています。

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→前回:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第7話の感想〜第1クール前半でエランを救えなかったバッドエンド世界を覆すべくスレッタトゥルールートに向けてミオリネが動き出す(ネタバレ注意)へ
→次回:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第9話の感想〜「条件付きの愛」は「無条件の愛」には勝てないっぽいといったお話(ネタバレ注意)
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