●アイシールド21
ヒル魔と葉柱の対比ですが、同じ暴力で屈服させるやり方でも、ヒル魔の方はヒル魔の暴力で最初は嫌々やってたハァハァ三兄弟が自分の意思で参戦してくる様が既に描かれていたりしたので、やっぱ葉柱の仲間とヒル魔の仲間は違うよなという事実を読者はすんなり受け入れられます。
それとは別に、対比に使われるヒル魔ですが、実はあんまり背景が語られていないキャラだというのがあります。背景が語られていないので、直接的に葉柱とヒル魔を別つ要素はこの時点では分からない。これは伏線とも言えるんでしょうか。どこかでヒル魔というキャラの背景、バックボーンが語られる回が入るんじゃないかと僕は踏んでるんですが。その時になるとまたこのシーンも別な味わいが出てくる、みたいな。
●銀魂
普通に感動。
ギャグ部分じゃなくて、真面目部分での銀魂のテーマには、第01話冒頭の「刀」という言葉に象徴される何かを、銀時を通して新八が見つけ出す、というか、その「刀」を銀時を通して描くというのがあるんですが、今回それがガチっと銀時の台詞で語られていた感じ。良すぎるんでそのまま引用。
「俺にはなァ 心臓より大事な器官があるんだよ そいつァ見えねーが確かに俺のどタマから股間をまっすぐブチ抜いて俺の中に存在する そいつがあるから 俺ァまっすぐ立っていられる フラフラしてもまっすぐ歩いていける ここで立ち止まったらそいつが折れちまうのさ」
「心臓より大事な器官」が、第01話の「刀」と同じものだと考えられます(折れる物という点でも比喩として共通)。
そしてそれを持つ銀時に、ギャグ調で続く神楽に新八。この前描かれた新八の成長エピソードが、ここでの新八の参戦を自然なものにしています。というか、最終回級のノリだと思います。次週の最後の闘いで、新八が第01話で銀時の中に見た「刀」を再確認すれば、傑作として完結です。って今の人気で完結はあり得ませんが、それくらい今週良かった。
銀魂であんまり真面目語りするのもなんですが、最近社会的に鬱病、犯罪が多いのは、価値観が多様化する中で自分の中の「確かなもの」を持てないからだとする分析があります(容易な批判で自分がぐらついてしまうために、気分が沈むベクトルに行ったり、キレるベクトルに行ったりする)。
そんな時代の中にある主人公の「確かなもの」を、「刀」や「心臓よりも大事な器官」という言葉に象徴させて描いているのだとしたら、ギャグ調ながら、中々に銀魂は熱い漫画ですね。
●NARUTO
ネガティブ思考だった人間が、自分の適性を見極めて立ち上がるというのは好きな話です。ナルトとの対面の描写が結構良かったので、防衛規制の逃げじゃなくて、覚悟を決めて医療忍者になろうとしてるのが伝わってきます。影が薄いヒロインでしたが、今週は良かった。
●テニスの王子様
全国大会まであと6日……とか日数を区切ってるんですが、特に6日以内にさしせまってこれだけは達成しなきゃならない課題とかが提示されていないので、今ひとつ飾りの日数カウントという感じがします。武装錬金の日数カウントなんかは深刻な重みがあるんですが。
●ワークワーク(Waqwaq)
ああ、やっぱ先週良かった。一カットだけ入った神様が血を分け与えるシーンの回想だけでまた感動。
レオは「人間」−「機械」の括りから解き放たれたキャラとして重要だと思います。とりあえず今回機械と通信できる神様の携帯電話を拾いました。
予想:今後、レオと機械との共闘が描かれる。
それでこそこの漫画のテーマの一つが生きてくると思うので。そしてそのきっかけを作った神様の萌え度がまた上がると。
つーかさらわれちゃってますけど神様!ちょっと、このまま捕らわれの姫様ポジションになるよりは、もう少し味方サイドで色々動いてくれた方が好みの展開なんですが。
●D.Gray-man
最近面白くなってきました。
リナリーの兄妹話挿入は、この話だけ見ると唐突ですが、多分後々の伏線ですよコレ。第01話とか、家族間をはじめ人間間の愛憎劇を「アクマ」を絡めて描いていくのがこの漫画の基本構成だと思うので、愛憎劇の中のポジティブ要素としての兄妹愛だったりするなら感動しそうです。
つーかリナリーたんビジュアル的にかなり好きです。
●武装錬金
明確な作中悪を置かないまま、謎解き要素で読者を惹きつけているという印象です。ヴィクターも完全悪とは言いづらいし、錬金戦団にも言い分はあるしで、ドラゴンボールで言うフリーザやセルみたいな完全な敵はいない感じ。
でも、武装錬金は非常に特撮ヒーロー物的なので、それも分かるかという感じ。善悪の境界シャッフルこそが最近の特撮なんじゃないかと思うんで。
それはそうと、逃避行に、それを追う特殊能力を持つ集団という図には、古典的な燃えを感じます。山風忍法帖的というか、もっとライトに伊賀の影丸的というか、そんな感じのエンタメを期待。
●未確認少年ゲドー
今週も文句無い素晴らしさです。
初めに月星熊という怪奇を提示し、その現象を瀬音のオッサンやその娘の論理で解釈。でもそれが誤謬気味で、最後は探偵役(解説役)のゲドーくんが「人間の理屈は動物には通じない」と解体する。
この「怪奇」→「人間の一般的な解釈(誤謬気味)」→「主人公が解体、再構築」という流れに、僕は前から「京極堂」シリーズの流れを感じていて、ゲドーはライトライトした「京極堂」なんじゃ?なんてまで思ったりもしてるんですが、これはちょっとばかり高評価し過ぎでしょうか。
それにしてもこの掲載位置、打ち切りは免れないかなぁ。
皆さん、是非コミックスを買って、短期を駆け抜けた良作少年漫画として語り継いで行きましょう(2クール目はややイマイチかなと個人的には思ってるけど)。
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ちなみに言及してた「京極堂」シリーズはこちら↓大人の本読みは是非。
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●補
金未来杯の結果については、「下手の考え休むに似たる」さんの言及に完全に同意(ジャンプ48号感想内)。「タカヤ」だけが、読者が接種しやすいファーストフードだった。凝った料理は素晴らしいですが、数を売るなら食べやすさです。
『アイシールド』のところ・・・柱谷→賊学ですね。柱谷は鬼兵のいた高校ですよね。個人的にはヒル魔と鬼兵の対比も見たかったんですが、今週の葉柱との対比でお腹いっぱいになりました。あー、この漫画を好きで良かったなぁと思わせる話でしたよ。
>ヒル魔と葉柱ルイの違い
ハシラには“偶然!!”とか書かれてますけど、僕的にはそういうことじゃなくて、元々のスタンスが違うのになーと思いました。ヒル魔の根本にあるのは恐怖政治じゃなく、「まず仲間を好きになる」んだと思います。
セナやモン太のコンプレックスを刺激したり、入部テストで雪光救ったり、夏彦の加入を喜んだり。ああいう描写が今まであったので、ヒル魔の根底にあるのは恐怖政治ではなくて、恐怖政治はキッカケでしかないと思えてました。
その背景にあるのが、時折挿入される「ヒル魔・栗田・ムサシが3人で熱く夢を語るシーン」でいて、きっと彼にとって“仲間”というのは何よりも大切なものなんだろうって思います。
それが明かされるであろうムサシ復帰戦のことを考えると、今から熱い。